米General Electric(GE)社が2012年秋に提唱した、産業用機器とITの融合に関するコンセプト「Industrial Internet」。その適用対象として同社が重視している分野の1つは、工場だ。Industrial Internetの考え方を持ち込むことで、工場はどのように進化するのか。工場向けの取り組みを主導するGE Intelligent Platforms(GEIP)社のBernard Cubizolles氏に聞いた。(聞き手は、高野 敦=日経テクノロジーオンライン)

――Industrial Internetの適用対象としては航空や医療の事例がよく挙げられていますが、工場も適用対象なのですか。

GE Intelligent Platforms(GEIP)社のBernard Cubizolles氏

Cubizolles氏:その通りです。工場のIndustrial Internetに関する話を始める前に、まず私の所属するGEIP社やその製品について紹介させてください。

 GEIP社は、さまざまな業種の工場や大規模プラント向けに、HMI(Human Machine Interface)やSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition、監視制御システム)といったものを提供しています。ハードウエアとソフトウエアの両方を手掛けていますが、基本的にはソフトの会社です。多くの工場やプラントでは、こうしたソフトを用いて自動化を実現したり、空調や電力を管理したりしています。

インターネットに2120億個の“もの”がつながる

Cubizolles氏:次にIndustrial Internet全体の話ですが、その可能性は非常に大きいと見ています。米IDCが2013年10月に発表した調査によれば、IoT(Internet of Things)関連市場の規模は2020年に8兆9000億米ドル(890兆円)に拡大し、その段階でインターネットに接続している“things”(もの)の数は2120億個に達します。

 このような世界を構成する要素としては、「IoT」、「知能化された機器」(Intelligent Machines)、「ビッグデータ」、「分析技術」、の4つがあると考えています。大量のデータを収集するだけではなく、そのデータにどのような意味があるのか、それをどう分析するのかまで含めて考えなければ、Industrial Internetのコンセプトは機能しないでしょう。