国のプロジェクトに任せていては、その目標は実現できない。民間によるロケット開発を活性化させることが、低価格ロケットの道を切り開く。こう堀江氏は見ている。
スマートフォン革命で安くなる半導体や電子部品、そして3Dプリンターの進化は、宇宙開発の挑戦者にどう見えているのか。同氏のロケット開発への思いや将来像を聞いた。(聞き手は、池松由香=日経ものづくり、高橋史忠=日経テクノロジーオンライン)
―― 堀江さんが手掛けるロケット事業は今、どれくらいの進捗状況なのでしょうか。
堀江 「宇宙空間への打ち上げをどうするか」という段階に入ってきています。2013年8月には、6機目となる小型液体燃料ロケット「すずかぜ」の打ち上げ実験に成功しました。
そう簡単にはいかないと思いますが、次はできれば今年(2014年)中にロケットを宇宙空間に到達させたい。そういう目標で動いています。
―― 実際に民間でロケットを開発するとなると、規制とかのハードルがあって大変なのではないですか。
堀江 規制はそれほど大変ではないですね。ロケットの場合は実験や打ち上げの場所を確保しなければならないのですが、それも北海道で確保できたので。
今、開発しているロケットの目標は、宇宙空間に一応行って、すぐ返ってくる「サブオービタル(弾道飛行)」というやつですね。サブオービタルまでは大丈夫だと思うんですけれど、軌道に到達するとなると、保険などの問題がいろいろ出てきます。
―― サブオービタルの打ち上げに成功すると、結構「おおっ!」って言われる感じですか。
堀江 宇宙に到達したらニュースになると思いますよ、かなり。民間企業単独でサブオービタルまで上げた事例ってそんなにないですから。
―― そもそも、ロケットをやりたいと考えたキッカケは何だったんですか。
堀江 「誰もやっていないから」というのが大きいんじゃないですかね。誰かがやってくれるんだったら、それでもいいんですけど。日本では「誰でも宇宙に行ける」というようなコンセプトで、誰もロケットを開発しようとしないので、そこはちょっとやらないとまずいかなという感じです。
―― ロケットは、今までの堀江さんがやってきたこととは、だいぶ分野が違いますね。
堀江 違うと何か問題がありますか。
―― 別に問題はないですけど…。
堀江 普通は分野が違うことって、やらないんですかね。分野って、あまり関係ないじゃないですか。
インターネットも僕にとっては、たまたまやりたいことをやっただけです。インターネットに出会って、これはすごい仕組みだなと思って、それを普及させたいなと考えたからやってきたわけで。ある程度は普及したので、まあまあですかね。ただ、普及したなと思いつつも、「いまいちみんな使ってねえな」という思いもあるので、それはそれでもう少し啓蒙しなければとは思っているんですけど。