ソニーは2014年2月6日、「VAIO」ブランドで運営してきたパソコン(PC)事業を、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に同年7月1日付で譲渡することを発表した。スマートフォンとタブレット端末に経営資源を集中する一方で、PC事業をJIPが設立する新会社へ譲渡することにより、VAIOブランドを冠したPC事業を存続させるのが最適だと判断、譲渡に踏み切ったとしている。

 これによりソニーが企画、設計、開発、製造、販売するVAIOは2014年春モデルが最後になる。一方で、JIPが設立する新会社は、ソニーがPC事業の拠点としている長野テクノロジーサイト(長野県安曇野市)において250~300人程度で操業を開始するという。

 ソニーのPC事業についてはNHKが2014年2月1日、中国Lenovo社(聯想)と合弁会社の設立交渉に入ったと報道した。これについてソニーは同日、事実ではないと否定していた。

 ソニーのPC製造について、EMS(電子機器受託製造サービス)/ODM(Original Design Manufacturer)業界では、VAIOのハイエンドモデルはソニーの内製、ミドルレンジや入門機は台湾のEMS/ODMに製造を委託していたとの観測が有力だ。台湾紙『経済日報』(2014年2月6日付)が伝えた台湾の市場関係者による話では、2013年の受注規模が最も大きかったのは台湾Quanta Computer社(広達電脳)で、その他を台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕社と、台湾Wistron社(緯創)が分け合っていたとされる。

 これに対して同じく台湾の経済紙『工商時報』は2013年6月6日付で、2013年分としてVAIOブランドのノートPCを最も多く受注したのはWistron社であり、比率は全体の45%、コンシューマー向け、法人向けのいずれも手がけていたと指摘。一方で、Quanta Computer社はコンシューマー向けのみ、フォックスコンはコンシューマー向けの中でも低価格モデルが主力だったと報じている。