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半導体業界で顕在化する新たな競合関係の行方に注目

半導体業界で顕在化する新たな競合関係の行方に注目

2014年の半導体/エレ業界を占う【業界動向編:服部 毅氏】

2014/02/13 07:00
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 「2014年の半導体/エレクトロニクス業界を占う【業界動向編】」をテーマに、専門性や立場の異なる複数の識者がを論じる今回の「SCR大喜利」。2014年、どのような点に着目して大きなインパクトを及ぼす可能性がある情報を収集・分析すべきか、服部コンサルティング インターナショナル 代表の服部 毅氏を業界動向編最後の回答者として招き、以下の三つの質問について聞いた。

服部毅(はっとり たけし)
服部コンサルティング インターナショナル 代表
服部毅(はっとり たけし) 半導体メーカーに30年余り勤務し、基礎研究から量産ラインの歩留まり向上まで広範な業務を担当。この間、本社経営/研究企画業務、米国スタンフォード大学集積回路研究所客員研究員等も経験。2007年に技術・経営コンサルタント、国際技術ジャーナリストとして独立し現在に至る。The Electrochemical Society (ECS)フェロー・理事。半導体専門誌にグローバルな見地から半導体業界展望コラムを7年間にわたり連載中。近著に「半導体MEMSのための超臨界流体(コロナ社)」「メガトレンド半導体2014-2023(日経BP)」がある(共に共著)。

【質問1】2014年の半導体業界で、注目している動き・出来事は何でしょうか?
【回答】 グローバルには16/14nm 製品の生産開始、ローカルではソニーのルネサス鶴岡工場買収

【質問2】2014年の半導体市場に、大きな影響を及ぼすと考える機器やサービスは?
【回答】 中国ブランドの廉価なスマホや4KテレビとIntel社のファンドリー・サービス

【質問3】2014年の半導体業界で、その動きに注目している企業はどこ?
【回答】 Intel社、TSMC、ソニー、MediaTek社、Qualcomm社

【質問1の回答】グローバルには16/14nm 製品の生産開始、ローカルではソニーのルネサス鶴岡工場買収

 モバイル製品の高性能化・高速化・低消費電力化の激烈な競争の中にあって、16/14nm製品は22/20nm製品以上に先端ファウンドリーへの引き合いが多い。一方で、昨年中に生産開始するはずだった米Intel社の14nmプロセッサが、製造プロセスで発生する欠陥の密度が所定値まで減らせないとの理由で、製造開始時期が延期されている。その量産ラインとして新築した「Fab42 (米国アリゾナ州)」の稼働開始も当分延期となっている。Intel社にとってこのラインのプロセスはFinnFET第2世代に当たる。Finプロセスには慣れているが、アスペクト比のおおきなtall FINの採用で、製造の困難さが増していると推測される。たとえ技術的な壁は越えることができても、コストが高騰による経済的な壁を突破できるかどうかに注目している。


 一方で、台湾TSMCは28nmプロセス立ち上げでてこずり、初めから大量注文してきた米Qualcomm社、米NVIDIA社始め大手顧客への納期遅れが発生した。零細顧客と化した日本の携帯電話メーカーは、「Snapdragon」が思うように入手できず、スマートフォンの発売延期や中止に追い込まれたのは記憶に新しい。FinFETの製造経験が全くないTSMCが、20nmプレーナ・プロセスを立ち上げ、すぐさま16nm Finプロセスを前倒しで立ち上げられるかが注目される。

イメージセンサーで果敢にリスクを採ったソニー

 米格付け会社Moody's Investers Service社は1月27日、ソニーの格付けを投資に向かない「投機的水準」に下げた。これで欧米の格付け会社2社が「ソニーは投機的」と評価を下したことになる。Moody's社は格下げの理由について、ズバリ「中核の電機事業の大部分で、引き続き収益引き下げの圧力にさらされている」としている。それを裏付けるかのように、ソニーは今年に入りパソコンを含む国内家電5工場で、人数の制限のないリストラを始めている。

 こうした中、ソニーはルネサス山形セミコンダクタ(SYG)が保有する鶴岡工場の買収を発表した。もはや、ソニーにはイメージセンサーしか頼りにできるものが無くなってしまい、ここにリスクを承知で投資をせざるを得なくなったと見る。まさに投機的企業の投機的決断だ。

 10年前、CCDを過信していたソニーは、CMOSイメージセンサー事業を最後発で始めた。ディジタル・カメラの連写競争にCCDでは太刀打ちできなくなったからだ。しかし、最後発ではまともな戦略では勝ち目がないので、リスク承知で難関の裏面照射型に研究を集中し、ライバルをあっと言わせる逆転ホームランで今日の地位を築いた。今度は製造でもリスクをとって、ダメ押しホームランを打って、おおきく他社に差をつけ首位を固めようとしている。

 「リスクを採る者にしか勝利の女神は微笑まない」という点で、日本の半導体メーカーのほとんどに期待感が無い中、ソニーにだけは期待がかかる。ただし、失敗した時のリスクも大きい。ソニーのイメージセンサーはApple社への依存度がきわめて高く、Apple社がクシャミをすればソニーは風邪をひく状態で、薄氷の上の半導体勝ち組である。現に、Intel社が生産調整した昨年初めには売り上げを大きく下げた。他社が、ソニー製のような高い性能をもった廉価イメージャーを出せれば、Apple社はそちらに簡単に乗り換える可能性がある。ソニーのトップは、他社に2~3年先行していると豪語しているから、そんなことは想定外なのかもしれない。むしろソニーがパイをひろげるため廉価版市場へ殴り込みをかける可能性も高い。鶴岡工場買収はその布石だろう。

 一方で、台湾TSMCが28nmプロセス立ち上げでてこずり、初めから大量注文してきた米Qualcomm社、米NVIDIA社始め大手顧客への納期遅れが発生した。零細顧客と化した日本の携帯電話メーカーは、「Snapdragon」が思うように入手できず、スマートフォンの発売延期や中止に追い込まれたのは記憶に新しい。FinFETの製造経験が全くないTSMCが、20nmプレーナ・プロセスを立ち上げ、すぐさま16nm Finプロセスを前倒しで立ち上げられるかが注目される。

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