専門性や立場の異なる複数の識者が半導体の今と将来を論じる「SCR大喜利」、今回のテーマは「2014年の半導体/エレクトロニクス業界を占う【業界動向編】」である。2014年、どのような点に着目して大きなインパクトを及ぼす可能性がある情報を収集・分析すべきなのか、半導体業界の動きを常に追う5人のアナリスト、コンサルタントに聞いた。
各回答者には、以下の三つの質問を投げかけた。今回の回答者は、アドバンスト・リサーチ・ジャパン マネージング・ディレクター シニア・アナリストの石野雅彦氏である。
アドバンスト・リサーチ・ジャパン マネージング・ディレクター シニア・アナリスト
【質問1の回答】スマートフォン市場での成熟化と価格破壊、および自動車産業での技術革新
世界のスマートフォン市場は、2014年CES(国際家電展示会)におけるCEA(米家電協会)の発表によれば、2014年の出荷台数が前年比23%増の12.4億台と成長する。しかし、平均単価が同14%下落し、297米ドルに低下することから、金額ベースでは同6%増に留まる。低価格の中国スマートフォンの台頭いかんでは、平均単価が下落し、金額ベースでマイナス成長に陥る。既に2013年11月頃からプレミアム機の売れ行きが急速に鈍化し、半導体、電子部品、ディスプレイの受注が減速している。春節(旧正月)が終わり、3月から例年通りの回復を期待する声が多いが、楽観視はできない。
この減速リスクを米国の株高に支えられた自動車産業の復権が支え続けられるのかも留意すべきである。HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV (Plug-in Hybrid Electric Vehicle)の開発に留まらず、高圧縮比高効率ガソリン・エンジンや自動運転などの技術革新が半導体成長の礎になると注目している。