半導体産業は今、技術的にも、事業的にも大きな転換点の真っ只中にいます。微細加工技術の改善をベースとした技術開発トレンドやサプライチェーン、業界構造など、根本的な部分で従来の枠の中に留まることなく変化しています。こうした中、位置付けが分かりにくい新技術の登場、一見不可解に見える組み合わせでの企業提携、未知の新勢力の台頭など、長年半導体業界に身を置く人でも理解に苦しむ出来事が次々と起こっています。

 これまで半導体産業は、他に類を見ないほど多種多様な分野の知見を集めて成立しています。技術の分野だけで見ても、電子工学、材料工学、有機化学、生産工学・・・。事業を営むためには、経営、知的財産、金融、M&A・・・。こうした多くの専門的な知見を複合的に組み合わせて、技術を進化させ、業界を成長させてきました。こうした半導体産業固有の知識集約した業界構造は、今も将来も変わりません。今起きた出来事の原因がどこにあるのか、どの分野にどのような波及効果があるのか。見極めるためには、情報を様々な視座から複眼的に読み解く必要があります。

 「SCR大喜利」は、同じ情報を得た専門性や立場の異なる複数の識者が、それぞれどのような見解を提示するのか、横並びで見せるコラムです。同じお題を与えられた噺家が答えの面白さを競う寄席の出し物を模した形式で、情報を読み取るプロである識者の切り口の違いを読者の皆様にお届けします。お題となるテーマは、タイムリーなニュースや定期的に公表される統計資料、業界が総力を結集して取り組むべき課題などから選定します。識者の回答の中から、読者の皆様が気付かなかったような視点、直感を裏付ける論拠が得られるかも知れません。