医療機器開発の潮流が大きく変わりつつある。市場で必要とされる医療機器が多様化していると同時に、これまで同分野にかかわってこなかった企業の積極的な参入も求められている。医療機器の最新トレンドについて、同分野の専門家である久保田氏が分かりやすくお伝えする。
ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

我が国では、クラスII相当の医療機器を第三者認証に移行してから15年が経過した。この間に認証された医療機器は2万件弱にものぼる。だが、ここ数年の認証に関し、特異な傾向が見えるので、その実態に迫ってみることにした。
脳波計といえば「脳波を連続測定する検査機器」という概念が付きまとう。しかし最近、固定観念を覆す新たな機種が登場した。今回は脳波というパラメータに対して、新しい切り口で脳機能の診断が可能になった装置について紹介する。
「体調改善機器」という新たなカテゴリーの認定制度が始まった。薬機法の対象となる「医療機器」とは一線を画すヘルスケア機器群に関わる認定制度である。
コンタクトレンズメーカーのシードが、眼球内の圧力変動測定が可能な「トリガーフィッシュ センサー」の国内における製造販売承認を、厚生労働省から2018年9月14日付で取得した。高度管理医療機器(クラスⅢ)としての承認取得である。
FDA申請からわずか1カ月弱で認可
2018年9月中旬に発表された米Apple社の「Apple Watch Series 4」。その中には、健康に興味のある人だけでなく、医療に携わる人たちにとってもひときわ注目すべきキーワードが含まれていた。「ECG(心電図)」だ。
フジタ医科器械の可搬型生体情報モニタリングシステムに見る
2018年夏、西日本豪雨や連日の猛暑など、異常気象下における救急救命対応が重要課題との認識が高まっている。このような緊急事態において待望されているのが、災害対策用の医療機器だ。フジタ医科器械(前多宏信社長)は、災害対策用の可搬型医療機器の開発に着手し、災害現場などでの要望に応える生体情報機器への取り…
“先人達の知恵の拝借”を
生体情報センシング分野の事業の場合、何から手をつけて良いのか、未参入企業は初期の検討だけで立ち止まってしまうことが多い。しかし、それは何の知識もないゼロの状態であるからに他ならない。ゼロから1(イチ)の状態に導かれれば、そこからアイディアが生まれ、1が100に発展することもある。
心電図などの長時間モニタリング用電極は、多くの企業が独自の製品を展開してきた。その中で、使う側の立場から指摘されてきたのが、長時間装着後の皮膚のかぶれの問題だ。この問題に回答を与える電極が開発されたので紹介したい。
打開策をいま一度考えてみる
2017年度の医療機器の回収数は2016年度に比べほぼ同数で推移、何らの進歩も見られない。ちょうど1年前のコラム「医療機器の回収、なぜこれほど多いのか」では、この問題点について記した。ここでは、もう一度、医療機器業界を取り巻く回収問題について振り返る。
エーアンドエーシステムの「ステップ・パルサ」に見る
少子・高齢化対策は、このところの緊急課題となっている。こうした中で、ロコモティブシンドロームの予防策が求められている。そこに焦点を当てて開発された、受動型のトレーニング装置が登場した。時代の要求に応えた装置とでも言えようか。
高齢化により要介護者が増加する中、そのニーズに対応する目的で開発された医療・介護用ベッドが発売になった。要介護者や介護者・医師・看護師の要望にどうこたえていくのか、単なる寝具だったベッドに新しいアイデアが取り込まれた新製品について紹介したい。
この種の書籍で、これまでも業界で好評だった『医療機器への参入のためのガイドブック』が全面改訂され、『医療機器への参入のためのガイドブック(第2版)』として、2017年12月に出版された。医療機器産業への参入が普遍化している時流に即し、その流れに乗った企画でもある。一方、医療機器開発にとって、医学側か…
体重計や歩数計から始まった健康チェッカーは、今や多岐に渡る製品群がネット上を賑わすようになっている。その中から実例を取り上げ、ユーザー側からの実用的な観点について整理しておきたい。
インターネットとモノをつなぐ「IoT」の時代が到来している。医療の場や医療機器業界においても、必然的に“インターネットと医療を結ぶ”ことの重要性が意識されるようになってきた。今回のコラムでは、IoTの医療特化版ともいうべき「ネット社会と医療をつなぐ動き」、すなわち“IoMT”(Internet of…
医療機器輸出拡大の突破口となるか
2017年8月15日、経済産業省は「先端医療機器(光線力学的治療機器)の安全性に関する国際規格発行」と題するニュースリリースを発行した。医療機器の承認審査の中では世界的にハードルが高いとされる光線力学的治療機器の安全性について、日本から提案した国際規格が発行されたという内容である。
医療機器産業に従事するすべての人へ
2017年6月末に、『医療機器の薬事業務解説』(小泉和夫著、薬事日報社)が発刊された。類書の多いテーマながら、本書は規制者側からの視点で書かれていることが特色。かつての薬事法から現行の薬機法に至るまでの推移も読み取れ、医療機器業界に身を置く人にとっては、開発を含めた対応策へのガイドブックとして有用だ…
“肩こりのない”謎に迫る「歩行ケア」
高齢化社会の到来とともに、歩行への関心はさらに高まりを見せている。その中心的な指標は、例えば、1日8000歩というような「歩数」だった。ところが最近では、それだけでないパラメータとして、「歩き方」に焦点を当てた機器が登場してきている。
医療機器の製造・品質管理のためにはQMS省令の基準に適合する必要性がある。この基準適合性調査(QMS調査)に関し、「QMS 適合性調査における指摘事例及び適合に向けての 考え方について(2017年版)」がPMDAから報告書として発表された。今、医療機器の製造・品質管理の体制は一体どうなっているのか、…
医療機器の回収は、2014~2016年度の最近3年間で合計1224件もあった。1日あたり1件以上の回収が発生しているのが実情だ。何が原因で、このような憂うべき現況にあるのか、業界に関わる全ての人が冷静に考えてみる必要がある。
東日本大震災から6年、今考えるべきこと
大学発ベンチャーや国家プロジェクトによる医療機器開発は、ハイテク技術を利用した“革新的”機器開発のテーマが多い。しかしながら、真に必要とされる製品は、必ずしも革新性や新規性だけが重要というわけではない。東日本大震災から6年、大型医療機器等を対象としたリスクマネジメントの好例として、転倒防止機構に注力…