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HOMEスキルアップマネジメント編集長が語る2014年 > 臥薪嘗胆、そして捲土重来

編集長が語る2014年

臥薪嘗胆、そして捲土重来

日経BP半導体リサーチ編集長 伊藤 元昭

  • 2014/01/01 00:00
  • 1/1ページ

 皆様、あけましておめでとうございます。昨年は、『日経BP半導体リサーチ』をご愛読くださり、ありがとうございました。

 収益構造転換の最終段階となる最大の試練。日本の半導体メーカーにとって、2013年は、大きな痛みを伴う年になりました。ルネサス エレクトロニクス、エルピーダメモリ、富士通セミコンダクター、パナソニックなど、多くの半導体メーカーが、会社や部門・工場の売却、人員の大幅な削減を決定。そして、多くの方々が、長年働いてきた職場を去り、新しい会社・部署へと移っていきました。働く場所を変えた人、変えるよう促さざるを得なかった人、双方が、心身ともにつらい決断を迫られたことでしょう。

 他業界に眼を転じると、一度は窮地に立たされ、その後目を見張る復活を遂げた企業が好調です。2009年3月期に国内の製造業として過去最大の7873億円の最終赤字を計上した日立製作所は、電力や鉄道などの社会インフラ事業に経営資源を集中させたことで、2011年2388億円、2012年3471億円、2013年1753億円と着実に利益を挙げています。また、2010年1月に経営破綻した日本航空も、2012年1866億円、2013年1716億円と完全に息を吹き返しています。いずれも、徹底した収益構造の転換が功を奏しました。

 復活した企業の背景には、それぞれに固有の様々な要因があることでしょう。しかし、辛酸を舐めつくした半導体メーカーにとって、勇気付けられる手本であることは間違いありません。日本の半導体産業は、かたちや規模がすっかり以前と異なるものになりました。ただし、確かに生き残り、栄華を誇った時代と苦境の中にいた時代の記憶、その間に培った知恵を未来につないでいます。半導体メーカーの復活劇は、まさにこれから始まるものと信じています。

 2014年、より高度な半導体デバイスを求める需要家の期待に、半導体業界がいかに応えたらよいのかが問われる年になるかもしれません。

 グローバルな視野で見れば、半導体産業は間違いなく成長産業です。WSTS(世界半導体市場統計)の2013年秋季予測では、2013年の世界半導体市場は対前年比4.4%増の3043億900万米ドルと3000億米ドルを超えると見ています。また、米Gartner社が2013年12月4日に発表した世界半導体市場予測(速報値)でも、2013年の世界の半導体売上高は対前年比5.2%増の3154億米ドルになると予想しています。

 半導体市場の中長期的な成長を牽引すると期待されている応用分野が、IoT(internet of things)です。パソコンやスマートフォンなど情報端末だけではなく、ありとあらゆるモノをネットワークにつなぎ、社会活動や企業の事業、人々の生活の質を高めようとするものです。パソコンの普及が、一般家庭に高性能なマイクロプロセッサやDRAMを普及させたのと同様に、身の回りのありふれた機械や道具の中に、高性能な半導体デバイスが当たり前のように組み込まれる日が目前に迫っています。

 既にその先駆けが見えています。自動車分野での先進運転者支援システム(ADAS)、経営システムと連動して動く産業ロボットや高度な工作機器、電力損失を最小限に抑えるスマートなエネルギー機器、日々の暮らしの中で体の変調をいち早く察知するヘルスケア機器などです。産業の軸足を民生関連から産業関連へと移しつつある日本は、IoT関連の変革が数多く生まれ、使われるホットスポットとなることでしょう。

 ところが、供給側の半導体メーカーは、技術が進化すればするほど、事業化が難しくなってきています。かつては、半導体デバイスの微細化を推し進めれば、高性能化、高集積化、低消費電力化、低コスト化が同時に達成できていました。しかし、世代を追うごとに、これらのパラメータがトレードオフの関係になり、同時に実現できなくなってきています。IoT時代に向けて、高性能な半導体デバイスを安価に供給しようとしても、これまでと同じコンセプトのチップやビジネス・モデル、同じ業界構造では、対応できなくなりつつあるのです。

 2013年9月24日、半導体製造装置メーカー首位の米Applied Materials社(AMAT)と、同3位の東京エレクトロンが、経営統合することで合意したという電撃的な発表がありました。より微細な加工ができる装置を作ったとしても、これまでのように多くの半導体メーカーが買ってくれない時代に備えるための動きだといいます。微細化を基軸とした半導体デバイスの進化を考え直し、新しい機軸に基づく事業を真剣に検討すべき段階に来ています。

 こうした変革の時代は、事業の在り様を変える覚悟を持った日本の半導体メーカーに、多くのチャンスを生み出すことになるかもしれません。ものは言いようですが、日本の半導体メーカーは、微細化に依存しない半導体事業の構築に先駆けて着手しているとも言えます。価値のある事業を創出するためには、新しい知恵と視点が欠かせません。私たち「日経BP半導体リサーチ」は、ニュースや統計データだけではなく、情報を読み解く知恵や視点を収集・蓄積し、読者の皆様が活用できる知識に変えてお届けできる体制を整えたいと考えています。読者の皆様が課題を解決し、新しい商機をつかむお手伝いができるよう、全力で取り組んでまいります。

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