自動車考3回目、ずぼらな私も一応、執筆予定を立てている。今回は予定を破って燃料電池車である。

 予定を守れなかったのは、日本経済新聞11月21日付朝刊に出た、トヨタ自動車が2015年に向けて中国でハイブリッド車の開発を支援するという記事のせいである(日経電子版の会員向け関連記事「トヨタ、中国でハイブリッド車共同開発 現地大手2社と」を参照)。同種の報道は我がTech-On!でも既に本年4月にされている(関連記事1)。触発されたのは、前日のTech-On!にトヨタ自動車が燃料電池車を2015年に発売へという「第43回東京モーターショー2013」がらみの報道があったせいである(関連記事2)。

 トヨタ自動車は常々、燃料電池車を本命扱いにしてきた。値段、燃料電池セルの耐久性、水素供給インフラなどに問題があるため、ホンダ、日産自動車とともにリース販売に留めているというのが現状である。付け加えれば、リースでも販売しているのは国内のこの3社だけである。このような状況で2015年の燃料電池車販売を宣言したのは、先に挙げた三つの課題の解決が見えてきたからである。トヨタ自動車は本気である。もちろん、ホンダも2015年販売を宣言している。

 さて、これを踏まえるとトヨタ自動車のハイブリッド車用部品の中国生産という日本経済新聞の記事は興味深い。遊星ギアを使う「THS(Toyota Hybrid System)」の重要性が下がったと読める。ご承知のように、この部分の生産や開発はトヨタ自動車の戦略的技術であり国内に留めていた。つまり、軸足をハイブリッドから燃料電池車に移した。これが、一連の記事から読み取れる。大事である。世界最大の1000万台規模の生産台数を誇るトヨタ自動車が軸足を移したのである。世界が変わる。