工程情報の扱いも課題に

 長年にわたるもう1つの課題として、BOMに工程情報がないことが、ジャストインタイムを実現する上での妨げになることが挙げられる。従来のMRPの所要量展開計算では、生産着手時点で全ての部品や材料がそろうことになる。しかし、製造リードタイムが何日にもわたる製品では、部品や資材はそれを使う工程の着手日まで放置されることになる。

 この問題を解決するために、工程情報をMBOMで扱うことが考えられる。1つの方法として、生産途中で一時的に生じる半組立品をBOMの親子関係に組み込み、品番を与えて区別する方法があり、大手自動車メーカーなどで実例があるといわれる。しかしこの方法は、製品構成の親子関係が変わったとき、例えば主ラインで製作していたユニットの工程をサブラインに分けるといった場合には、該当する半組立品を新たに管理対象とする必要が出てくる。あるいは、部品に改良があったときに、その部品が使われる半組立品全ての品番を振り直すといった管理上の煩雑さもある。

 そこで、部品の親子関係をBOMのベースとすることをやめて、工程のつながりをベースとしてBOMを作る「工程BOM」といわれる方法も提案されている。部品や製品、半組立品は工程に対する入出力として表現する。しかしこの方法も現段階では万能とはいえず、検討すべき課題は残っている。