最初に体験したのは「Compute」

 スパコンの業界に入り、すぐに携わるようになった「PCクラスタシステム」で、筆者が最初にトレンドと感じたのは「演算性能」。つまりCPUの性能向上でした。少々昔話となってしまいますが、筆者が一番最初にお客様に納品したPCクラスタシステムのCPUは(年齢がバレてしまいますが)「Pentium III 600MHz」(米Intel社)でした。コードネーム「Katmai」と呼ばれたIntel Pentium IIIの第1世代です。

 その頃から見ると、今のPCに入っているCPUは十数年前当時のスパコンレベルというべきでしょう(笑)。実際、当時のIntelプロセッサは、UNIX系が主体だったCPUのどれにも敵うものはなく、「PCクラスタ」という名前がぴったりだったと今でも思っています。以前の記事の中で、高性能コンパイラ「PGI」にも少し触れましたが、それをもってしても力の差が大きいのは否めない、そんなCPUでした。もちろん、当時のPC用途としては申し分ない性能だったのですが……。

 その直後の1999年末、Pentium IIIシリーズにコードネーム「Coppermine」と呼ばれる新製品が登場し、そのスピードに期待が集まりました。このCPUに筆者が初めて触ったときの周波数は733MHz。前作Katmaiから大きく進化したCPUで、製造プロセスの微細化や2次キャッシュのオンダイ化などにも対応していました。筆者は、このプロセッサを認識するLinux Kernelの最新版を入手し、その性能の進化を身をもって確かめたのです。

 現在から見ればごく微量な変化に過ぎませんが、当時の筆者にはそれがとても大きな進化と感じられました。そのため筆者は、たちまちこのプロセッサのファンになったのですが、しばらくすると、少しずつその思いが揺れ始めました。原因は米AMD社製「Athlon」の登場です。当時はCPUの周波数の向上が著しく、Pentium IIIもその例に漏れず大きな進化を遂げていったわけですが、そこへ割って入ったのが、このAMD製のプロセッサだったのです。

 次回以降は、AMDとIntelの「CPU性能向上対決」の間に感じたことなどを書いてみたいと思います。

(つづく)