Solar Power International (SPI) 2013
Solar Power International (SPI) 2013
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展示会の様子
展示会の様子
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基調講演では、太陽光発電産業や電力会社、電力事業規制機関の代表者が討論した
基調講演では、太陽光発電産業や電力会社、電力事業規制機関の代表者が討論した
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焦点は米国の国内問題に

 セミナーでは、米国の国内問題にスポット・ライトが当てられた。2012年のSPIで、中国製太陽電池モジュールに対する、反ダンピング関税と相殺関税の適用の話題が盛り上がったのとは対照的だ。特に関心を集めたのは、飛躍的に成長して市場の半分を占めるようになった大規模電力事業用や集中型太陽光発電システムではなく、今後の成長が予測されている住宅用や中小規模の分散型太陽光発電システムだった。

 今後、分散型システムは、米国のグリッド・システムにおいて重要な役割を果たすと期待されている。しかし、電力会社の受け入れ態勢や連邦政府・州政府の規制の検討・設定・見直しなど、様々な課題を乗り越えないといけない。
 
 SPIの2日目の基調講演では、太陽光発電産業や電力会社、州レベルの電力事業規制機関(電気事業者による電気料金値上げの規制や認定、新エネルギーなどの利用に関する特別措置法の規制、送配電線の設置規制や認定をする政府機関)、連邦エネルギー規制委員会の代表者のパネルセッションで始まった。「どうして、電力会社は分散型太陽光発電を拒むのか」「どうして電力事業規制機関の対応は遅く、時間がかかるのか」「どのようにすれば太陽光発電産業と電力会社は共存できるのか」といった質問が相次いだ。

 現在、米国の余剰電力買い取り制度「net-metering」(Tech-On!関連記事)が、電力会社からの批判を受けている。電力会社の主張は、「配電線に接続する分散型の太陽光発電システムは、太陽光発電システムを設置していない電力使用者に不公平な負担を発生させている」というものだ。太陽光発電システムを設置した電力使用者は、毎月の電気料金を削減することができる。そうなると、「ネットワーク設備コスト(送電線や配電線などの設備コスト、運転コスト、メンテナンス・コストなど)が、太陽光発電システムを設置していない電力使用者に集中してしまう」とする。これは、日本の固定価格買い取り制度と同様に、太陽光発電の電力買い取り費用を、すべての電力使用者に電気料金の一部として負担してもらう事業モデルが背景にある。

 問題の本質は、太陽光発電システムで発電した電力の「正当な買い取り価格」にある。電力会社と太陽光発電産業の間で、この価格の計算法だけでなく、コストとメリットの定義に大きな乖離があるのが現状だ。電力会社は、安定した電力を「手ごろな価格で提供」しなくてはならない。電力会社からすると、太陽光発電はコストが高く、供給が不安定な自然エネルギー源となる。

 一方の太陽光発電産業側は、分散型太陽光発電システムは昼間の需要ピークに貢献し、新たな送配電インフラへの投資や構築を不要とし、さらに環境面で大きな利点があると主張する。これらの利点はコストを大きく上回っており、その価値を買い取り価格にしっかり反映させるべきだ、という見解である。