米Apple社が、2013年10月22日(日本時間同23日)に開催する新製品発表イベントの招待状が米メディアに届き始めたと報じられたのは、同月16日のこと。このイベントでApple社は、9.7型タブレット端末「iPad」第5世代の他、ノートパソコン(PC)「MacBook Pro」など複数の新製品を発表すると推測されている。

 iPadシリーズは台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕、MacBookシリーズは台湾Quanta Computer社(広達電脳)と、これまでは生産の大半を台湾系のEMS(電子機器受託製造サービス)やODM(Original Design Manufacturer)が手がけてきている。このため、Apple社が新製品発表会の開催を決めたと報じられるたびに、その翌日の中国、台湾メディアには、「XX社が新型iPadの出荷を本格化」「YY社の歩留まり低迷でMacBookの出荷に遅れ」など、新製品関連の記事が紙面を賑わせるのが常だった。

 ところが今回は、ほぼ同時に流れたあるニュースによって、新型iPad登場のニュースが吹き飛んでしまった。販売の不調を受け、Apple社が同年9月20日に発売を始めたばかりのスマートフォン「iPhone 5c」(以下同5c)の発注を削減したというニュースを、同月16~17日にかけて、複数のメディアが報じたからである。

 きっかけになったのは米紙『THE WALL STREET JOURNAL.』の報道。同紙中国語版(2013年10月17日付)によると、Apple社は同5cの2013年第4四半期分の発注について、第1サプライヤーである台湾Pegatron社(和碩)に対する発注台数を当初の計画より20%削減、第2サプライヤーのフォックスコンに対しては、同3分の1に減らしたと報じた。

 同紙はまた、ある部品サプライヤーが、Apple社から同5c用部品の発注を50%削減するという通知を受け取ったと報じた。さらに、フォックスコンが同5cの発注削減を受け、中国に置く生産拠点で実施していた、同機向け生産要員の募集を既に止めたと伝えている。