前回は、機能の実現手段を検討する際に、他社と差別化すべき領域をどう見極めるかについて解説しました。今回は、実現手段となる構成部品を具体的に決めていく際のポイントをお話しします。

製品開発の現場でよく見かける問題

 製品開発の現場でコンサルティングする中でよく見かけるのは、“製品の実現手段を決めて、具体的に設計しモノを作り製品として組み上げた後に、初めて致命傷*1が顕在化して、設計手戻り、もしくは実現手段の変更を余儀なくされる”という問題です(図1)。

*1 致命傷 ここでは技術課題のうち解決策が見つからないもの、もしくは解決に多大な労力を要するものと定義。壊れるなどの不具合だけでなく、目標値の未達なども含む。

致命傷の発覚による手戻りのイメージ(ガスタービン発電システムの例)
図1●致命傷の発覚による手戻りのイメージ(ガスタービン発電システムの例)

 ここで特に問題視すべきと考えるのは、「モノを作り込んだ後に“初めて”致命傷が顕在化した」という点です。そのような致命傷の可能性をあらかじめ把握できていないと、回避策の検討や、事前評価もできませんし、万が一問題が発生した場合に備えた構え(代替手段の開発に伴う工数や時間等の確保など)も不十分になり、想定外の納期の遅延や開発コスト(工数など)増大などの問題が発生してしまいます。グローバル競争が激化し、高いレベルで納期とコストの達成が求められている昨今においては非常に大きな損失になります。

 このような開発終盤での大きな手戻りを防ぐには、具体的な設計に入る前に、①あらかじめ致命傷の種(致命傷につながる可能性のある技術課題)を探し対応策を考えること、②実現手段案を比較した上で採用判断すること、③他組織に対する要求仕様は漏れなく具体化すること、この3つをしっかり行うことが大事です。