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PICK UP DIGITAL

<キーワード解説>オープンソース

  • 木崎 健太郎=日経ものづくり
  • 2013/09/10 00:00
  • 1/1ページ

 CAEツールやPLMツールなど、製品開発業務に用いるソフトウエア(以下、ソフト)で「オープンソース」と呼ばれるものが増えてきた。基本的なメリットはライセンス料金がかからないことだが、その意義はコストだけではない。

 オープンソースとは、ソフトのソースコード(ソフト開発者がプログラミング言語で処理内容を記述したもの)を秘密にせず公開すること。通常の商用ソフトでは開発者はソースコードを外部に公開しない。ソースコードがあれば、同じ機能のソフトを誰でも容易に作成できるため、ソフト自体の販売は成り立たなくなるからだ。しかし、ソフトの普及と改良を優先するのなら、誰もが自由に使えるように公開する方がよい。

 この考えから「フリーウエア」の概念がまず生まれた。しかし「フリー」という言葉は「自由」以上に「無料」を意味する。収益と無縁のものを企業が業務で開発することは、通常は不可能。そこで無料での使用よりも、個人や企業を問わず多数の人に開発に参加してもらえる効果を重視するオープンソースの考えが発展してきた。

 オープンソースのオペレーティング・システム「Linux」は、ソフトを良くしたいと考える開発者が集まった非営利のコミュニティーによって、ユーザーにとって利便性の高まる開発、改良が短期間で進んだ成功例である。似た枠組みで公的機関がソフトを開発した例もある。文部科学省の「戦略的基盤ソフトウェアの開発」「革新的シミュレーションソフトウェアの研究開発」では、2002年から2008年にかけて、量子化学計算、タンパク質-化学物質相互作用解析、ナノシミュレーション、流体解析、構造解析などのソフトを開発し、成果はソースコードを含めて公開している。

 オープンソースのコミュニティーは、当初は非営利団体としての色彩が強かったが、現在では団体自体は非営利でも、企業の開発者が業務で参画している場合が多い。自社にとって好ましい機能を盛り込めること、ソフトが大規模になって個人の立場ではかかわるのが難しくなってきたことなどの理由による。

 最近は、営利企業がオープンソースのソフト開発を主導あるいは管理する例もある。例えばオープンソースのPLMツールとして知られる「Aras Innovator」は米Aras社自身が開発する。ライセンスは無料だが、操作教育やシステム開発、早期バージョンアップなどのサービスを有料で実施している。

 現状でオープンソースが適しているのは「単純な機能で済むローエンドと、高性能が求められるハイエンド」(オープンソースの流体解析ツール「OpenFOAM」の前身である「FOAM」の共同開発者Hrvoje Jasak氏)という。商用ソフトはベンダーのサポートサービスによる動作の保証やバージョンアップなどの面では安心だが、単純な処理で使うならサポートはほとんど必要がないため、商用ソフトでなくてもよい。一方、複雑な独自の解析計算を実行する場合には、公開ソースコードを基に専用の機能を開発しやすい。さらに計算が大規模になると、商用ソフトはライセンス費用がプロセッサなどの台数に応じて増えるが、オープンソースは無料なので、その分費用を大きく節約できる。

 以上はCAEに限らず、他の分野のツールにも当てはまると考えられる。

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