多くの企業はものづくりプロセス改革を実践している。改革に成功し、成果を獲得した企業もあるが、一方では道半ばで挫折し、当初の目標が達成できなかった企業もある。そこで、筆者が関与した最近5年間における、約50件のものづくり改革プロジェクトの成功要因を分析したところ、成功企業は「7つの共通法則」を持っていることが判明した。

 今回から3回にわたり、連載「ものづくりプロセス改革の功罪」の最終章をお送りするが、最終章では、この7つの共通法則について紹介していきたい。

明らかに存在する改革成功の共通法則

 ものづくり改革における成功とは、どのような状態を指すのだろうか。例えば、投資案件にはROI(投資対効果)という概念がある。改革に対してシステムやリソースを投資し、定量的なリターンを評価した結果のことだ。ROIを評価した結果、数年で投資コストを回収できた、ということは成功の一つの定義だろう。ROIでなくても、当初の企画時点で定義した成功基準や目標値を達成した場合も、成功であると言える。また、新しい業務プロセスやそれを支援するシステムを使った新業務プロセスが定着し、全社員がこれを快適に活用して、やや主観的ではあるが「効率性がアップした」と評価されている状態も、成功と評価してよいのではないだろうか。

 このような点でものづくり改革に成功した、といえる企業には、共通で見られる法則が存在するようなのである。