有力候補として名前が挙がっているのは、台湾Wistron社(緯創)と台湾Compal Communications社(華宝通信)だ。

 このうちWistron社は2012年、主力のノートPCの生産台数では3150万台と世界第3位にある。また、テレビではソニーから生産を受注している。

 ただ、ノートPCについては、タブレットPCの台頭で市場自体が低迷している影響を受け、同社は2013年7月、通年の出荷台数が前年割れするとの見方を示した。また、テレビについては、2011年には670万台を出荷したものの、ソニーがフォックスコンに対する発注を拡大した影響を受け、2012年には400万台にまで減少。さらに2013年は、円安でソニーが生産委託の見直しを図ったことにより、Wistron社のソニー向け出荷は2013年下半期、ついにゼロになったとの観測が浮上。同年8月半ばには、Wistron社が2013年末をもってテレビ事業から撤退するとの見方まで出るようになっている。

 厳しい状況が続くWistron社だが、Apple社がiPhoneの生産をWistron社に任せる決め手になりそうなのは、カナダBlackBerry(旧RIM)社の第1供給業者として単月100万台規模のスマホを生産してきた実績だと言われる。

 台湾紙『経済日報』(2013年3月5日付)によると、Wistron社は同年1月に発売された「BlackBerry Z10」をはじめ、同年発注分の6割に当たる1600万台を受注したとされる。BlackBerryの販売不振で、Wistron社の出荷台数も実際には当初の予定に届かない公算が高く、来年以降の受注も不透明だが、仮にiPhoneの受注に成功すれば、BlackBerryの減少分を補って余りあるのは言うまでもない。