社会と企業の接点が環境変化を速める

 以前の日本の大企業では、閉じた企業内での交流である程度その代替機能があったように思います。また、高度成長期の日本では、新しいビジネス・モデルを考えるのではなく、成長している事業をどんどんブラッシュアップするだけで充分事足りていました。

 ところが今は新しいアイデアや情報、クリエイティビティーが重要視される時代です。それなのに、それらを持った自立して自律的に行動して環境の変化を素早く捉えて考え、行動できる人材が不足しています。

 ではどのようにすればよいのでしょうか?

 実は私には、シリコンバレーが一つの大きな縁側のように思えてなりません。日本家屋に多く見られた縁側は、家の中と外を繋ぐ回廊のような機能があります。通りすがりの知り合いが情報を持ち寄り、談笑し議論する場としての機能です。

 門を閉ざして家の中だけでいくら考えても、新しい生の情報は入ってきませんし、新しいアイデアも生まれてはきません。ですから、企業と社会の接点としての「縁側」的な機能を企業に取り入れるのも、環境の変化に素早く対応できる人材や、組織を作るための一つの方法ではないかと考えています。