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第10回●ケータイ・スマホの世界で7年現役のチップ

第10回●ケータイ・スマホの世界で7年現役のチップ

2013/07/30 06:00
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 日進月歩の進化を遂げているフィーチャーフォンやスマートフォン(以下、スマホ)向けの半導体チップ。その大半は最先端プロセスを使い、デュアルコアやクアッドコア、オクタコアといった強力なCPUと、高性能のGPUを搭載しています。

 こうしたチップの登場は、エレクトロニクス業界の構図さえ変えつつあります。かつてはパソコン(PC)向け半導体が技術トレンドを牽引していました。しかし今や、性能と電力のバランスに優れたスマホ向けチップが技術トレンドの最先端にあることはご存じの通りです。

止まらないモバイル・チップの進化

 2013年にはおそらく20nm世代のチップが世に出てきます。さらには、動作周波数が2GHzを超えるモバイル端末向けチップが続々と製品化される見通しです。今年の目玉製品としては、米Qualcomm社の28nm世代チップ「Snapdragon 800(MSM8974)」と米Intel社の22nm世代チップ「Bay Trail」(開発コード名)を挙げることができます。既に発売済みのチップの中では、韓国Samsung Electronics社の「Exynos 5 Octa」や米NVIDIA社の「Tegra 4」などがその高いスペックで注目を集めています。

 これらのチップを追うかのように、中国HiSilicon Technologies社(HiSilicon社)が同等水準のチップを2013年後半にリリースするもようです。「K3V3」と命名されたそのチップは「ARM Cortex-A15」のクアッドコアを搭載する28nm世代品との情報があります。このように、先端プロセスとそれを用いたプロセサ、そして最新OSがスマホの進化を今後も引っ張っていくことは確実でしょう。

 2013年はLTE通信技術も大きな進化を遂げています。従来は100Mビット/秒が最高速度(理論値)の「Category 3」が主流でしたが、最高速度150Mビット/秒の「Category 4」へシフトしつつあります。ここでも先端プロセスやそれを用いた高性能のCPU、DSP技術が活用されています。

 アプリケーション・プロセサやモデム(ベースバンド・チップ)と組み合わせて使われるチップ群も、同様に進化を続けています。電源ICは、きめ細かい動作に応じた電圧を供給できるように多くの機能を搭載するようになりました。RFトランシーバ・チップも、多くの周波数帯に対応できるように40nm世代などの先端プロセスを活用するようになっています。

 無線LANやBluetooh、FMなどの通信機能を1チップ化したコンボ・チップの進化もとどまるところを知りません。複数社が発売し、スマホやタブレット端末に広く採用されていますが、2012~2013年にはこれらのチップも大きな進化を遂げています。最新のコンボ・チップの事例を図1に示します。無線LAN機能については5GHz帯のIEEE 802.11 ac規格に対応したもの、BluetoothではLow Energyと呼ばれるv4.0対応のものが多く出回るようになってきました。さらに、GPS機能やNFC機能を備えたものが主流となりつつあります。これらのチップの進化は、より高度なスマホやタブレット端末を実現する必要条件となっています。

図1●採用事例の多いコンボ・チップ。次世代はNFCなどの機能が加わる
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世界的には3Gでさえまだ「中盤戦」

 ここで、本コラムの第8回「“猫も杓子もクアッドコア”を可能にしたもの」で紹介した中国Actions Semiconductor社のタブレット端末向けチップの売上高の推移を示しましょう(図2)。2011~2012年に160%の成長を遂げており、2012~2013年には140%の成長を遂げる見通しです。大きく伸びているのはほぼタブレット端末向けチップのみで、それ以外のチップの売上高はほぼ横ばいです。

図2●Actions Semiconductor社は2011年以降、タブレット端末向けアプリケーション・プロセサの成長によって売上高を伸ばしている
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 Actions Semiconductor社は、2012年12月時点で約2億2000万米ドルの現金を保有していることを公表しました。Bluetoothや無線LAN、NFC、GPSなどの無線通信ソリューションに投資できるだけの十分な資金だと述べています。さらに同社CEOのZhenyu Zhou氏は「タブレット端末において2G/3G/4G接続技術が不可欠かどうかは不透明」だと語ってもいます。

 3GやLTEなどの高速データ通信は、世界的にはまだ普及途上の段階にあります。図3に示した「GSM World Coverage Map 2013」を見ると、普及している国は多いものの、それらの国の全域でカバーされているわけではありません。3Gの普及率は世界的にはまだ50%そこそこなのです。インドや中国でも3Gは普及の途上にあり、インドでの普及率は5%、中国では20%強というのが2013年初頭の状況です。3Gの普及率が高いことで知られるシンガポールやマレーシアでも、50%ないしは60%程度です。

図3●赤色の国・地域がLTEに対応しているが、それぞれの国・地域の全体がカバーされているわけではない(出典:WorldTimeZone.com「GSM World Coverage Map 2013」)
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 今後、これらの地域で3GとLTEが同時に普及するというシナリオも考えられますが、3Gの普及が先行する可能性は高いでしょう。すなわち、3G対応のモバイル端末にはまだ大きな伸びしろがあるわけで、勝負はまだ「中盤戦」だと筆者は考えます。

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