企業の寿命

 業種によって、企業の寿命は違う。自動車業界の大手はほとんどが創業100年ぐらいの老舗企業である。一方、IT業界においては、数年程度で新陳代謝が起こり業界の構図が大きく塗り替えられている。

 ビジネス環境が目まぐるしく変化する現在、業種によっては、新興企業が次々と現れ、その一方でまたたく間に消えていく。生き残るためには、短期間に変わっていく業界動向の中で、適切に舵を切って企業を変身させていくことが必要になっている。

 巨人網絡集団元CEOの史氏は、1991年に会社を立ち上げて、自分で開発したパソコンの漢字編集システム「M6401」を商品化して儲けていた。しかし、技術の進歩でこのシステムの市場が縮小すると、史氏は健康食品に注目し、健康食品「脳白金」を売って荒稼ぎした。しかし、誇大宣伝でペテン師と批判されたことから、史氏は健康食品の事業から撤退。儲けたお金をつぎ込んで、当時ブームが到来していた不動産業に参入したが、順調にはいかず破産申請にも追い込まれた。それでも史氏は諦めず、他の会社を立ち上げて健康食品事業に再参入。さらに、成長しているネットゲームに積極的に投資して、会社は再度IT企業へ変身し、社名も「巨人」に戻して急成長した。その結果、史氏個人も、中国の富豪にランキングされるほどになった。このように、史氏は、最初の会社を創業してから引退するまでの20数年の間に、さまざまな業種を渡り歩き、会社も何度も設立し直している。それぞれの会社の寿命が長くないが、実業家として名を売った。

 企業の寿命にこだわらず、激しく変化している環境に応じて、企業や個人を迅速に変化させていく。変化の激しい現在においては、そうした変わり身の速さが重要である。そのためには、若さがやはり有力な武器といえる。

国の総人口と平均年齢

 米中央情報局(CIA)のサイトで掲載される世界各国平均年齢によると、国民の平均年齢は現在、中国では36.3歳、日本では45.8歳、米国では37.2歳である。日本は、中国と米国より10歳ぐらい“年長”。世界的にも、最年長レベルだ。

 日本は、「失われた20年」という言葉に代表されるように、ここ20年ほど経済は発展せずに停滞している。原因はさまざまだが、高齢化に伴って国全体のイノベーション力が低下してきていることと密に関連しているのではないかと思う。第二次世界大戦後の日本が飛躍的に発展していた時期は、若手が多く若さによる活力がみなぎり、「終身雇用」や「年功序列制」によってもたらせられる安定が大きな競争力を持っていたが、そうした競争力も今では失われてきている。国民の年齢構成と社会制度のミスマッチが日本の衰退の最も大きな原因だと思われる。

 中国も高齢化社会に移っている。現在の出生率は日本とほぼ同じ。2040年には、60歳以上の人口が現在の1.71億から4.11億に急増する。これに対して、総人口は現在の13億から14億までの増加。年齢による成長の壁は中国にも存在している。