ドイツや米国カリフォルニア州では、再生可能エネルギーを30%以上の高い比率で導入する目標を掲げている。風力発電や太陽光発電の大量導入には、出力変動を安定化するため、当初相当量の蓄電池が不可避と言われてきたが、実証研究の結果、電力市場と連動した需要側設備の自動制御によって蓄電池の必要量がかなり下げられることが分かってきた。
欧米では、温暖化対策ばかりでなく、エネルギーセキュリティ、地域住民の雇用確保などの視点から、再生可能エネルギーを高い比率で活用しようとの機運が高まっている。すでに電力に占める再生可能エネルギーの比率が100%近くまで増やした都市も出てきた。
日経BPクリーンテック研究所が2013年6月28日に発行した『次世代社会創造プロジェクト総覧』によると、スウエーデンのベクショー市(人口約8万人)やデンマークのロラン島(人口6万5000人)などは、電力消費のほぼ100%を再生可能エネルギーで賄うことを達成したと宣言している。ベクショーは林業の残材を利用したバイオマス発電、ロラン島は洋上も含めた風力発電だ。
このうちバイオマス発電は、従来の火力発電と同様、電力需要に合わせて電力を供給できるため、高い比率で利用しても電力品質に何ら問題はない。だが、天気による出力変動の大きい太陽光や風力を主体に、再生可能エネルギー比率(再エネ比率)で100%を達成することは容易でない。デンマークのロラン島は、年間を通じてみると島の需要以上の電力を風力で発電しているが、海底ケーブルによって欧州全体の電力系統網につながっており、風の多い時は電力を輸出し、少ない時は島外から輸入している。