エレクトロニクス関連の展示会を見たり、セミナーを聞いたりしていると、部品メーカーの関心が大きく変わってきたことを肌で感じます。以前はパソコンやデジタル家電の次の動きが大きな関心事でしたが、今はむしろ新しい市場に対する関心が高いようです。例えばクルマ市場などです。

 こうした状況は、筆者が担当しているディスプレイ分野でも同じです。特に中小型パネルのメーカーは、スマートフォン/タブレット端末に続くもう一つの事業の柱として、車載用に大きな期待を寄せています。自動車メーカーが様々なデモをしているように、クルマの情報表示系は今後大きく変わると見られることから、パネル・メーカーは新たなビジネス・チャンスをつかもうと、開発や情報収集に余念がありません。

 そこで、筆者も企画に参加しているディスプレイのイベント「FPD International」では今年、ドイツのBMW社を基調講演に招聘します。5月末に訪問して打ち合わせをしたのですが、「ディスプレイ技術の動向には大変興味があり、講演や展示会の見学などを通じて日本のパネル・メーカーと深く交流したい」という言葉をいただきました。

 クルマ用のディスプレイはパソコン用やデジタル家電用の多くのディスプレイとは異なり、クルマ用ディスプレイの開発では、自動車メーカーとパネル・メーカーが一体になってデザイン・インをします。このため、多くのパネル・メーカーと密接な関係を構築することや、最新のパネル技術動向を常に把握することは大変重要だと、BMW社の方は語っていました。BMW社ほどの自動車メーカーであれば、パネル・メーカーとの関係構築には不自由していなくて、さほど興味がないのではないかと思っていたのですが、必ずしもそうではないようです。

 新しいビジネスの多くは、供給側と顧客との密接な情報交換や、異業種や異分野との交流から生まれます。今年のFPD Internationalでは、ディスプレイの作り手(パネル・メーカーや装置・部材メーカー)と使い手(ユーザー=セット・メーカー)が深く交流できる場を目指して、この他にも様々な企画を練っています。今年の会期は10月23~25日、開催場所は昨年と同じパシフィコ横浜です。どうぞ、ご期待ください。