「スーパーテレビ」はどんなテレビ

 以下が、スーパーテレビの主なスペックだ(60インチの機種の場合)。

LSI:米Qualcomm社の「S4 Prime」(1.7GHz)
パネル:60インチ、フルHD(High-Definition)、3D対応のSharp製パネル
配信管理プラットフォーム:中国国家ネットテレビ局
アプリストア:多数のテレビ向けアプリストアが使える
ユーザー・インタフェース(UI):ジェスチャ対応、体感センサ付きのリモコン
無線:「AirPlay」*1に対応
クラウド:「楽視クラウドサービス」を提供
ホームネットワーク:DLNAガイドラインや、ディスプレイ出力の無線化技術である「Miracast」をサポート
コンテンツ:テレビとして受信できるコンテンツ以外に、スーパーテレビ向けの膨大な映像ライブラリが見放題(年間費用必要)

*1 AirPlay 米Apple社の「iTunes」「iPhone」「iPod touch」「iPad」で再生している動画/静止画/音楽を、家庭内ネットワークを介して他の機器でストリーミング再生するための機能のこと。

*2 DLNAガイドライン デジタル家電やパソコンなどの相互接続を容易にするために、Digital Living Network Alliance(DLNA)が定めたガイドラインのこと。対応機器をネットワークにつなぐことで簡単にファイルの共有を行える。

 楽視網によれば、スーパーテレビは、Qualcomm社の世界最速チップを世界で初めて搭載するとともに、シャープ製の最先端パネルを採用する。さらに、組み立ては、EMS(電子機器受託生産)世界最大手の台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn(フォックスコン)〕が担当し、楽視網はフォックスコンからスーパーテレビのOEM供給を受ける〔スーパーテレビの発表会の動画(楽視網の中国語サイト)〕という。すなわち、同テレビは「“楽視+Qualcomm+シャープ+鴻海”のスーパー組合」(楽視網CEO)が手掛ける製品なのだ。スペックを見る限り、あり得るものは全て揃っているようなイメージ〔スーパーテレビの機能に関する動画(楽視網の中国語サイト)〕。その意味では、ある程度、スーパーテレビと言ってよいかもしれない。

 スーパーテレビの正式発売は2013年6月。価格は60インチの「X60型」が6999元(1元=約16円)。ネットでの販売と見られる。中国で販売されている60型TVは大半が1万元以上。1999元の39インチの機種「S40」もある。

 楽視網はその正式発売に先立って、同年5月21日、200台のスーパーテレビを同社のネットショップを通じて5489元(4999元のテレビ本体、490元の年間サービス料金)という低価格で特別限定発売した。多数の応募者がいたという。

 スーパーテレビに関する記事や評論が発表会の同月7日以降メディアに溢れている。賛否両論、「テレビを再定義した」という高い評価がある一方、「から騒ぎして名を売ろうとしている」などの冷やかな声も少なくない。