優秀なエース人材が社内外から集合

 3社の役割分担は以下の通りです。オモロキは取締役兼CTO(最高技術責任者)で、著名なプログラマーの和田祐介氏が中心となって、パソコン向けWebサービスのアプリにコンテンツ情報を送受信するWeb APIを整備。数百件のアプリ開発実績があるブレイブソフトは、実際のアプリ開発を担当。ハロは伊勢氏が中心となり、マーケティングやユーザー・インタフェース(UI)のデザイン、広告営業を担っています。

 このプロジェクト・チームを全体統括するリーダーが伊勢氏です。興味深いのは、初めから3社の共同事業としてプロジェクト運営がなされていること。ボケてのサービスを企画し運営していたオモロキの声が大きかったり、どこかの会社が下請けとして扱われたりすることはないそうです。

アプリ版ボケての開発体制。
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 会社同士というよりは、それぞれの企業に所属する個人が有機的につながって一つのアプリを開発していく様子に近いのかもしれません。伊勢氏は、「1社がリソースを抱えて、事業のすべてを実行することはもはや無理だと思います。優秀なエース人材をプロジェクトごとに集めてチームを作り、ものづくりをした方が楽しいし速いし効率的」と話します。

 とはいえ、読者の皆さんも体験したことがあると思いますが、1社の中でさまざまな部署からメンバーを集め、プロジェクト・チームを作るだけでも大変な労力が必要です。それを複数の企業でやろうというのは、逆に非効率にも感じます。

 それがスマホ向けのアプリ開発では、当てはまらないということなのかもしれません。スマホ向けアプリは、スピード感が命。社内にアプリ開発経験者がいなければ、採用から始める必要があり、企画をしている間に3カ月~半年で変化してしまう流行から取り残されます。仮に開発経験者がいても、その人物の手がすぐに空いているかどうか分かりません。

 人材確保に右往左往する間に同類のサービスが先に登場してしまう可能性が高い。それならば、開発が得意な外部の企業と組んだ方が効率的であることは間違いないでしょう。そして、同等の立場で一緒に開発チームを作ってしまう。コンペをしたり、開発の仕様書を作ってやり取りしたり、開発費を交渉したりといった作業をするよりも、優秀だと信じている人々をチームに巻き込んで、「利益が出たら、等分に分けましょう」と割り切った方がスピード感があるのではないでしょうか。