悩めるリーダーの羅針盤、美崎栄一郎著、1,470円(税込)、単行本(ソフトカバー)、208ページ、早川書房、2013年4月
悩めるリーダーの羅針盤、美崎栄一郎著、1,470円(税込)、単行本(ソフトカバー)、208ページ、早川書房、2013年4月
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上司との交渉は部下に見せておく

浅沼 ここで話題を変えて、上司との交渉方法についてお尋ねしたいと思います。リーダー自身にも上にリーダー(上司)がいるわけですが、リーダーとリーダーの上司の間で意見の違いがある場合、自分たちのチームの目標を守るために、ときには駆け引きしたり戦ったりする必要に迫られます。そんな時、上司との一種の軋轢を部下に見せたほうがいいのか、それとも見せない方がいいのか、リーダーは悩んでしまいます。「リーダーは部下に背中を見せなければならない」と本書で何度か出てきますが、やはり見せた方が良いのでしょうか。

美崎 自分が率いているチームが向いている方向と、上司の向いている方向が合っているかどうかを、まず冷静に見極めることが大切です。両者のベクトルが合っていない場合はそれを正さなければならないのですが、「正さなければならない」ということを部下も気づいている場合、リーダーである自分がベクトルを正そうとしていることを部下に示さなければなりません。

 ただ、自分のチームのベクトルと自分の上司のベクトルが合わないからといって、単純に「上司が悪い」ということにはなりません。上司にとってみれば、あなたのチームは複数あるチームのなかの一つです。予算やリソースを割り当てるときも、あなたのチームが最優先とは限らないのです。その中であなたのチームの優先度を上げてもらうのがリーダーであるあなたの大切な役割なのですから、上司とのやりとりは部下にも見せておきましょう。

 もちろん、上司にぶつかっていって、すごすご戻ってきたらチームのメンバーはやる気がなくなってしまいます。私自身も上司から差し戻されることの方が多かったのですが、ここはリーダーとしての正念場です。突き抜けていくリーダーは必ず経験するステップなのだ、と思い定めてください。

美崎 栄一郎(みさき えいいちろう)。1971年生まれ。大阪府立大学大学院工学研究科を修了後、花王で商品開発のプロジェクトリーダーとして、自社のリソースと他社とのコラボレーションを推進。手がけたプロジェクトはテレビや雑誌、新聞にも取り上げられた。サラリーマン時代から、プライベートで「築地朝食会」「ひみつの学校」「社長大学」などの勉強会や交流会を主催。1000人以上のゆるやかな社外ネットワークづくりが注目され、異業種にも多くの人脈をもっているため「スーパーサラリーマン」と呼ばれた。その活動はマスメディアにも注目され、テレビ・新聞・雑誌・WEBメディアで毎月のように取り上げられている。主な著書に、2010年ビジネス書大賞を受賞した『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『超iPadバカ 2000種類のアプリをためした男のすごい活用術』(アスコム)、『ただのノートが100万冊売れた理由〜話題の文具を連発できるキングジムの“ヒット脳"〜』(徳間書店)、『アイデアは才能では生まれない』(日本経済新聞出版社)などがある。ホームページはhttp://www.note272.net/
美崎 栄一郎(みさき えいいちろう)。1971年生まれ。大阪府立大学大学院工学研究科を修了後、花王で商品開発のプロジェクトリーダーとして、自社のリソースと他社とのコラボレーションを推進。手がけたプロジェクトはテレビや雑誌、新聞にも取り上げられた。サラリーマン時代から、プライベートで「築地朝食会」「ひみつの学校」「社長大学」などの勉強会や交流会を主催。1000人以上のゆるやかな社外ネットワークづくりが注目され、異業種にも多くの人脈をもっているため「スーパーサラリーマン」と呼ばれた。その活動はマスメディアにも注目され、テレビ・新聞・雑誌・WEBメディアで毎月のように取り上げられている。主な著書に、2010年ビジネス書大賞を受賞した『「結果を出す人」はノートに何を書いているのか』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)、『超iPadバカ 2000種類のアプリをためした男のすごい活用術』(アスコム)、『ただのノートが100万冊売れた理由〜話題の文具を連発できるキングジムの“ヒット脳"〜』(徳間書店)、『アイデアは才能では生まれない』(日本経済新聞出版社)などがある。ホームページはhttp://www.note272.net/
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