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エディターズ・ノート

デュポンと3Mの称賛される開発力

  • 酒井 耕一=日経情報ストラテジー編集長
  • 2013/05/07 00:00
  • 1/1ページ
名古屋市にある「デュポンジャパンイノベーションセンター(DJIC)」。ここで顧客との共同イノベーション」が進む
名古屋市にある「デュポンジャパンイノベーションセンター(DJIC)」。ここで顧客との共同イノベーション」が進む
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 数ある米国企業の中には、業績が良く、経営手法も優れて、社風もいい「称賛される会社」がある。米フォーチュン誌が毎年ランキングを発表しているが、上位の常連企業がデュポンと3Mである。

 どちらも社名は知られているが、優れた経営手法はあまり紹介されていない。そこで日米で取材を進めると意外なことがわかってきた。デュポンは「顧客を巻き込む力」、3Mは「自由な勤務時間」を画期的な製品開発につなげているのだ。

 デュポン日本法人は、一風変わった施設を持つ。JR名古屋駅から車で10分ほどの距離にある「デュポンジャパンイノベーションセンター(DJIC)」(名古屋市)だ。オフィスビルの一室に足を踏み入れると、そこには真っ白な空間が広がり、デュポンが携わる製品や要素技術が整然と並ぶ。

 だがそこは単なるショールームではない。顧客と話し合う共同開発の場である。デュポンのモットーは自社と顧客がそれぞれイノベーションを起こして新製品を作ること。その実践のためにセンターを設けている。自由な発想で、普段の商談とは違う話をすることが大切という考えからだ。

 すでに成果も出ている。代表例がデンソーと共同で開発した自動車の「ラジエータタンク」と呼ばれる部品。ラジエータタンクはエンジンルーム内にあるため、耐熱性や耐久性が求められる。新技術を適用するには、品質面で難易度が高い。そこに、新たに開発したバイオ樹脂を適用したのだ。これはコスト削減に大きな効果をもたらす。

 一方の3Mはどうか。同社は、「失敗を許す風土」や「15%ルール」など独自の社風で知られる。挑戦して失敗しても評価を下げない。この失敗を許す社風の中で「ポストイット」や「スコッチ」など様々なヒット商品を作ってきた。挑戦を支えるのは15%ルール。勤務時間のうち15%は自由な仕事をしてもいいということだ。実際に日本法人の住友スリーエム(住友3M)には技術者500人が自主運営するフォーラムがある。技術について講師を招いたり、自主的に製品開発テーマを決めたりと、自ら進路を定めている。年2回開催して、役員は資金を出しても口は出さないルールだ。現在はコーティング技術を生かした“曇らないゴーグル”の開発に取り組む。住友3Mも商品や技術を紹介するセンターを持って、そこで顧客の意見やニーズを聞いている。

 デュポンも3Mも売上高3兆円を誇り、100年の歴史を持つ伝統企業。顧客の声を聞いて、社員も大切にする点で極めて日本企業と似ている。さらに成果を出し続ける点が突出しているが、そこはエンジニアが技術だけではなく「顧客の満足する新製品」に目標を置いているからだろう。論文執筆や基礎研究などに没頭するのではなく、製品にしてこそイノベーションという制度や社風が日本企業の一歩先を行っているのかも知れない。顧客の巻き込み力や自由な時間はそれほど大切なのだ。

 日経情報ストラテジーではデュポンと住友3Mの幹部らを招く経営セミナー「米国の称賛される会社に優れた手法と風土を学ぶ」を5月28日に都内で開催する(詳細はこちら)。日本企業と似ているようで少し先を進む製品開発の手法を体得できる。

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