一方で、Quanta Computer社にシェアを奪われた形となったDell社が、サーバーの生産委託を削減するとの観測もある。台湾の経済紙『工商時報』(2012年11月7日付)は、同月6日に台湾を訪問したDell社の幹部が、「受託生産企業が独自ブランドのサーバーに注力し当社と競合することになれば、発注を削減する」と述べたと報じた。同紙はこの発言が、クラウド事業で自社ブランドに力を入れるQuanta Computer社に対する警告だと指摘している。

 受託生産企業のQuanta Computer社が顧客に睨まれてまで独自ブランドのサーバー事業に注力する背景には、タブレットPCやスマートフォンの台頭により、主力であるノートPCの成長が望めないことがある。Quanta Computer社自身の生産規模も停滞気味で、台湾の経済紙『工商時報』(2013年4月11日付)によると、2013年第1四半期の出荷台数は970万台にとどまり、1050万~1100万台を出荷した台湾Compal Electronics社(仁宝電脳)の後塵を拝し、1四半期とはいえ最大手の座から陥落した。タブレットPCについては2012年通年で1400万~1500万台を出荷したものの、市場をリードするiPadの受注には成功していない。

 Facebook社は2013年4月22日(米国時間)、2億9950万米ドルを投じて米アイオワ州に同社4つめのデータセンターを設立することを明らかにした。同社によると、1日当たりに押される「いいね!」の回数は直近で27億回。2014年の稼働を予定する新データセンターでも、Quanta Computer社のサーバーがこの膨大な「いいね!」を処理することになるのだろうか。