iPad Miniの次機種、若干遅れの気配

 しかし、問題は、(1)新機種の生産開始が遅れるリスク、(2)生産に見合った販売となるか否か、である。新機種のうち指紋認証などの新機能が加わると見られるハイエンドの5Sに関しては、部品供給、組み立てともに若干遅れそうな雰囲気となっている。

 タブレットPCについては、iPad Miniの次機種の投入タイミングが若干遅れそうな点が、先月と異なる。現行機種は7.85インチのアモルファスSiベースのIPSパネル(解像度XGA、164ppi)が採用されている。パネルは、モジュールの生産能力で、LG Display社が350万~400万枚/月、台湾AU Optronics(AUO)社が150万枚/月程度と見られる。AUO社は2013年明けから漸く歩留まりが大幅に改善し、100万枚/月程度の供給が可能な体制が整った。2013年1Qは部品ベースで約1300万枚、製品生産ベースで約1200万枚と、対前四半期比(QOQ)で増加すると見ている。同年2Qの見通しは部品ベースで1000万~1100万枚とQOQで減少と見ていたが、同年4月に入ってから減速している。これを再び増勢に転じさせるのが、パネル解像度を引き上げた「Retina Version」であるが、まだ主要部品のスペックが最終決定に至っていないと見られ、数カ月の遅れとなるリスクが出てきている。

 New iPadは需要要因により、関連主要部品の生産出荷の停滞が続いている。液晶パネルでは、韓国Samsung Display社、LG Display社でそれぞれ最大300万枚/月の生産能力が整っている上、唯一、酸化物半導体IGZO(InGaZnOx)を用いたシャープも、生産能力としては200万枚/月を用意、合計で800万枚/月の供給体制となっている。しかし、在庫調整のため2013年1Qのパネル、部品出荷は600万枚程度にとどまったと見ている。現時点では同年2Qは800万枚程度の生産が見込まれ、同年3Qにはマイナーチェンジを施した新機種の生産が始まると見られる。しかし、パネルや主要部品のスペックに大きな変更はないと見られ、同年3Q以降の生産販売が季節要因以上に伸びるかは未知数である。