唯一好調の「iPad Mini」も調整局面に

 2012年12月から調整局面が続くApple社向け部品・部材供給は、想定通り2013年3月も依然厳しい状況が続いた。タブレット端末「iPad」、スマートフォン「iPhone 5」はともに低水準の部品供給、生産が続いている。唯一好調だったタブレット端末「iPad Mini」も、2013年4月から調整局面に入った。これらの製品について次機種の組立・販売が同年3Q以降となる可能性が高く、同年2Qは部品の先行生産以外、多くは期待できない。

 iPhone 5は、IPS(In Panel Switching)方式、タッチパネル内蔵の4インチLTPS(Low Temperature Poly Silicon)が採用されているが、パネル供給はジャパンディスプレ〔第4.5世代/5.5世代(G4.5/G5.5)ライン〕、韓国LG Display社(G4.5ライン)、シャープ(G6ライン)が行っており、推定月間生産能力は合計220万枚である。ジャパンディスプレイは茂原の新工場(G6ライン)が2013年5月から稼働開始、2013年末までに3万6000枚/月の基板投入が可能となる。3万6000枚/月はiPhone 5(4インチ)換算で約1600万枚(歩留まり未考慮)の膨大な生産能力である。LG Display社もG6のP6工場におけるアモルファスSiからLTPSへの転換を2013年3Qまでに完成する計画で、同年4Qには2万枚/月の生産能力を持つことになる。LTPSパネルの生産能力はさらに大幅に増加する。

 iPhone 5に話を戻すと、2013年1Qのパネル生産出荷は3000万枚以下、製品生産は2500万枚以下との見方を示してきたが、実績もほぼ予想範囲内だったと見ている。そして、同年4月、5月と1000万枚/月以下の低空飛行が続きそうという見方にも変更はない。同年2Qについても、現時点ではパネルベースで2700万枚程度と見られ、力強い回復は想定していない。しかも、これは次機種(「iPhone 5Sやローコスト機種」)向けパネル、部品の作り込みの前倒し実施の可能性を織り込み、同年6月には1400万枚程度に急増するという前提を置いての数字である。組み立てはドイツ証券(以下「当社」)では同年7月からを想定しており、同年3Qには2012年4Qのピークを超える5000万~6000万枚の生産が行われる可能性があると考える。