台湾電子産業の各製品分野における代表的企業の2013年3月の売上高は、対前年比(YOY)で11%減、対前月比(MOM)で22%増。MOMでは2桁の増収となった。ただし、旧正月休暇が2月にあったため、MOMの比較の対象となったベースは低い。

 台湾電子産業の各製品分野における代表的企業の同年1~3月〔第1四半期(1Q)〕の累計売上高は、YOYで9%減とマイナス成長だった。2012年12月に過去最高の売上高を更新していた台湾Hon Hai Precision Industry社〔鴻海精密工業、通称:Foxconn〕の2013年3月の売上高は、2603億8300万新台湾(NT)ドル(YOYで27%減、MOMで11%増)、同年1~3月の累計売上高はYOYで19%減。YOYで9%減だった全体を大きく下回り、全体の水準を押し下げた。米Apple社向けの売り上げの急減は既知の事実であるが、それに加えて1Qは従来閑散期であることを加味しても、「PlayStation3」「Xbox」などの据え置き型ゲーム機器の生産があまりにも低い水準に留まっており、生産停止に近い状況となっていることも幾ばくか影響していると考えられる。

 全体では、Hon Haiを含む部品は2013年1~3月累計でYOYで18%減、ノートパソコン(NB)は同10%減、Desktopは同9%減、プリント配線基板(PCB)は同6%減と振るわない。一方、2桁増収となっている分野もある。それらは、ファウンドリ前工程(同22%増)、太陽電池(同14%増)、LED(同13%増)、マザーボード(MB、同14%増)などである。その他、受動部品(同2%増)がYOYでプラスである。ファウンドリ前工程は台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing社(TSMC)の先端プロセス(28nm)の需要が好調なことから、また太陽電池やLEDは2012年の同累計売上高が低く比較対象のベースが低くなっていることから、このような結果になったと見られる。

 最終製品を見ると好調なのは一部ブランド(韓国Samsung Electronics社、韓国LG Electronics社、ソニーや中国企業のブランド、White Box)のスマートフォン、タブレットくらいであり、パソコン(PC)関連、フィーチャーフォン、ゲーム機器、デジタル・スチール・カメラ(DSC、コンパクト+デジタル一眼レフカメラ)などはむしろ想定より悪い。フラット・パネル・テレビ、白物家電、複写機やプリンタ、車載関連も想定線の域を出ておらず、エレクトロニクス産業全体では厳しい事業環境が続いていると言えよう。