スマホ向け新作ゲームの開発に“どっぷり”携わっている

スマートフォン向けタイトルは強化していく方向ですか。

日野氏:僕自身、今、スマートフォン向けのゲームの開発にどっぷり携わっています。

 これまでも、いろいろなスマートフォンのゲームにかかわってきましたが、正直に言うと、いまひとつ自分でも腑に落ちていない部分がありました。スマートフォンのゲーム性に必要なもの――例えば、電車に乗っていて一駅分の3分間で遊べるもの。その3分間でエキサイティングな気持ちになれるようなものが求められています。頭ではそれが分かっていても、なかなか、そのようなものを作り出せない状況が続いていたのです。

 でも、試行錯誤しながら、ようやく、僕自身が理解できて、腑に落ちるようになりました。今、進めているプロジェクトの1つは、僕の個人プロジェクトと言ってもよいもので、企画からアイテムの名前に及ぶところまで細かく見ています。「3分間でドキドキさせてやろう」と、新たなゲーム作りにチャレンジしています。ヒットの手ごたえを感じているので、早く皆さんに発表したいです。

ソーシャルゲームと家庭用ゲームを比べると、以前の日野社長は、家庭用ゲームでの開発にこだわりを持っているように感じました。その気持ちに変化はありますか。

日野氏:ゲームとしてちゃんと遊べるものを作りたいという気持ちは変わりません。その観点では、今のスマートフォンは、ゲームで得られるドキドキ感や気持ち良さを十分表現できるようになりました。これは、かつてのフィーチャーフォンの操作感では表現できなかったことです。

 加えて、ゲームを遊ぶ環境が変わりました。例えば、電車の中で、寝る前のベッドの上で、どんなゲームができるか、という視点で考えるようになりました。そうすると「いつでもやめられないといけないよね」とか、「昨日までやっていたことをすぐに思い出せないといけないよね」という視点になったのです。

 こうしたことから、今では、ソーシャルゲームやスマートフォン向けゲームでも、ちゃんと遊べるゲームを作れる、という意識を持っています。

“3分間でドキドキさせられる”スマートフォン向け新作ゲームへの取り組みを語る日野氏

その一方で、家庭用ゲーム機ではプレイステーション4(PS4)が発表されました。プラットフォームとして、PS4をどのように見ていますか。

日野氏:PS4はネットワークを強く意識した次世代のハードだと思います。ですから、グラフィック性能といったスペックではなく、コミュニケーションなどのネットワーク機能をどう使っていくかを考えることが求められますね。

PS4に向けたタイトルの準備は進んでいますか。

日野氏:まだ計画段階ですが、取り組んでいくつもりです。また、近いうちにお知らせできるかもしれません。

PlayStation Vita(PS Vita)は2月に値下げを行いました。3DSも値下げ後に普及のスピードが上がりました。

日野氏:PS Vitaの値下げは頑張りましたね。あの価格(1万9800円)は本当にすごいと思います。ただ、値下げをしただけでは普及にはつながらず、そのタイミングで戦略的なタイトルを投入していく必要がありますね。そのタイトルが何になるかという期待は大きいと思います。