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走行中のEVにワイヤレス給電、テラヘルツ波の通信活用も

日経エレクトロニクス
2013/03/21 00:00
出典:日経エレクトロニクス、2013年3月18日号 、pp.42-48 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
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日経BP社と日経エレクトロニクスは、日本の大学の理工系研究室およびベンチャー企業の研究開発を支援するため「NEジャパン・ワイヤレス・テクノロジー・アワード」を立ち上げました。編集部がノミネートした10件の研究を、連載で紹介しています。最終回となる今回は、豊橋技術科学大学の電気自動車(EV)向けワイヤレス給電に関する研究、立命館大学の「水」を使った可変帯域のフィルタ技術、大阪大学のテラヘルツ波に関する研究、愛媛大学のアンテナ技術です。

豊橋技術科学大学:走行中のEVにワイヤレス給電、10cm以上のギャップに対応可能

 「なぜ鉄道は電化されたのか。その歴史的な経緯を自動車に当てはめれば、電気自動車(EV)のあるべき姿は一つだ」――。こう力強く語るのは、走行中のEVへのワイヤレス給電技術を開発する、豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系 波動工学研究室教授の大平孝氏である。

大平孝氏
豊橋技術科学大学 電気・電子情報工学系
波動工学研究室 教授

 鉄道の歴史をひも解くと、日本では「AB10形」と呼ばれる蓄電池機関車が1927年に登場している。だが、航続距離の短さと充電時間の長さにより、わずか2両しか製造されなかった。さらに、AB10形登場の10年以上前には、“第1次EVブーム”が終わりを告げていた。要因はやはり、上記の二つ。そして、90年以上が経過した現在でも、これらの課題はEVを悩ませ続けている。

 大平氏は、「このまま行けばEVは鉄道と同じ運命をたどる」と見る。「電車のように外部から電力を供給できれば充電の手間はなくなる。また、搭載する2次電池を増やす必要もなくなる」(同氏)と言葉を接いだ。

タイヤのスチール・ベルトに着目

 では、鉄道と同じように走行中のEVに電力を供給するにはどうすればいいのか。大平氏の研究グループが目を付けたのが、無線で電力を伝送するワイヤレス給電技術だった。同研究グループが開発内容を初めて公表したのは2011年のこと。タイヤを介して電力を伝送する新たな手法を提案したのだった。

 理論の提案に続いて、大平氏の研究グループは1/32スケールのミニカーで実際にワイヤレス給電が可能なことを示した。その後、より大きな1/10スケールのミニカーでのデモを披露している。  

 そして、2012年夏には、実際の自動車用タイヤでの実験に成功した。実験では、路面に見立てたAl板に約30MHzの高周波電流を流し、Al板の上にある二つのタイヤの間に取り付けた白熱電球を点灯させた。タイヤは市販の状態から手を加えていない。Al板から電球までの電力伝送効率は「80 %を超えている」(大平氏)とする。

開発したワイヤレス給電技術を搭載した電動カートの試作機。2013年内に、走行中に給電できることを確認する実験を計画している。
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 ミニカーでの検証との大きな違いは2 点ある。(1)実物大の自動車のタイヤに50〜60Wという比較的大きな電力を送電していること、(2)送電側の金属板とタイヤとの間に厚さが約10cmのアスファルトを介していること、だ。特に、(2)については「道路の舗装材料であるアスファルトの厚さが(実際の道路で使われていることがある)20cm超でも利用できる見通しがついた」(大平氏)と自信をのぞかせる。

 実用上は送電電力を現時点より2ケタ増やす必要があるが、「そのための部品は比較的安く、大きな障害はない」(同氏)という。送電側の金属板に関しても、Al板である必要はない。例えば、建築物の補強に用いられるFe製の格子といった安価なものを使用できる。

左は、実験の様子。10cm程度の厚みがあるアスファルトを介しても電力を伝送でき、白熱電球が点灯した。右は、実験系の模式図。道路側の金属板とスチール・ベルトの間にコンデンサを形成して電力を伝送する
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