これら一連の政府当局による必須特許問題の調査が進む中、米国では依然として必須特許の侵害を訴えて差し止めを求める訴訟が続いている。Apple社対アンドロイド陣営、Microsoft社対 Motorola Mobility社以外の主な事件には次のようなものがある。

■2012年5月2日
フィンランドNokia社がHTC社および米Viewsonic社を米連邦裁判所に提訴(デラウェア州、事件番号12-cv-00549、12-cv-00550、12-cv-00551の3件が対HTC社、および12-cv-00552、12-cv-00553、12-cv-00554 の3件が対Viewsonic社)。同日、Nokia社はHTC社のみをITCに提訴(調査番号337-TA-847)。同時に、ドイツにおいてNokia社はHTC社、Viewsonic社、カナダResearch In Motion(RIM)社(現、カナダBlackBerry社をジュッセルドルフ、マンハイムおよびミュンヘンの地裁に提訴(Viewsonic社のみジュッセルドルフでは提訴されていない)

■2012年11月27日
スウェーデンEricsson社がSamsung社を米連邦裁判所に提訴(テキサス州、事件番号12-cv-00894, 12-cv-00895)。同じく11月30日に ITCに提訴(調査番号337-TA-862)

■2013年1月2日
米InterDigital社がスマホ・メーカー4社(Samsung社、Nokia社、中国Huawei Technology社、中国ZTE社)を米連邦裁判所に提訴(デラウェア州、事件番号13-cv-00008 Huawei社、13-cv-00009 ZTE社、13-cv-00010 Nokia社、13-cv-00011 Samsung社)。同日、ITCに提訴(調査番号337-TA-868)

 これらの訴訟では、原告はいずれも大手ICT企業で、業界の健全な成長に対する責任を果たす立場にありながら、論争の基となっている「必須特許による差し止め請求」の実施にためらいがないかのように見受けられる。その理由を考えるために、まずは上述の2012年末からの欧州ECおよび米FTCがどのように必須特許問題について判断しているかを各種資料から見ていこう。