切削加工をFEMで解析

 切削シミュレーションの中で、「AdvantEdge FEM」(米Third Wave Systems社)は有限要素法による切削現象専用の解析ツールである(図2)。工具の切れ刃が被削材に食い込み、表面をすくい上げて切り粉にする過程を逐一計算する。切れ刃に対する負荷の大きさ、切れ刃の温度、被削材や切り粉の温度などが得られる。

図2●切削現象を有限要素法で解析
図2●切削現象を有限要素法で解析
切れ刃とワークの相互作用を解析できる。「AdvantEdge FEM」(米Third Wave Systems社)でミリング加工をシミュレーションしている様子。
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ドリル加工のシミュレーション
(AdvantEdgeによる)

 これを用いることで分かるのは、切削条件の良否である。工具の摩耗度合い、つまり寿命を予測できる。従って、1本の工具でなるべく多くの切削ができるような切削条件を追求できることになる。FEMの常として、必ずしも寿命そのものズバリの数値を得られるわけではないが、例えば送り量を増やした場合に摩耗度合いがどう変わるか、という傾向は見ることができる。

 AdvantEdge FEMは、基本的に金属材料を対象としており、これまでの条件設定が最適だったかどうかを見直すのに向く。これまでの蓄積が長くても、その蓄積で得た加工条件よりもベターな方法があるかもしれない。切削現象の解析が可能であれば、それを根拠として加工条件の優劣を評価できるようになる。