図3の中で、2D設計から3D設計への変革が失敗する原因として、「設計者の負荷が大きい。目的も不明。2次元CADは設計者のツール!」という記述がある。日本の製造業においては、従来2次元による設計が主流であり、多くの企業では現在もそれが続いている。設計構想を考える段階においては、頭の中では3次元で考えているが、それを表現する手段として2D-CADやドラフタを利用している。そのためアウトプットも2次元で行う、という習慣が染みついてしまっているのが要因であろう。

 また、図3には、3D-CADを用いた開発プロセス改革の推進における課題や苦労話も披露されている。「3Dデータをどう活用すれば協業できるかわからなかった」「紙図面の仕事のやり方を変えられない」などだ。

 さらに、3D設計を推進するにあたって、解析の推進、図面レス化、協力会社とのデータ交換の取り決め、3Dモデルを用いたDR(デザインレビュー)や検図の方法、3Dデータを保管するためのPDM(製品データ管理)の導入、そして技術者に対する3D設計の教育や意識改革など、課題が山積みであることも指摘されている。図3は、まさに3D設計改革の典型的な課題を示しているのだ。新興国における3D設計の浸透度を考えると、日本の製造業は3D設計改革の変革スピードを、より加速するための施策を早急に打つべきだろう。

 次回は、3D設計導入に伴う課題、特にモデリングコストの問題を中心に考えていく。