話せば話すほど、話し足りなくなる

 主催者による緊急ミーティングは、即興でイベントの進め方を練っている場面なのです。「ねーねー、これからどうする?」と。イベントは生き物です。参加者やゲスト、そして司会進行役が生み出す場の空気を感じながら方向性を即興でにデザインしているわけです。決して、事前の打ち合わせや計画が足りないわけではありません(苦笑)。即興性の付加は社内のブレインストーミングなどでも、意外に有効な手法だと思います。

 「社内失業家ふぇ」で実施したワールドカフェは、ゲストのみなさんにも参加者と同じテーブルに座っていただき、同じ目線で対話するスタイルを採りました。意識の高いゲストのみなさんに触発されながら、話せば話すほど、話し足りなくなる。そんな場の空気がひしひしと伝わってきました。そこでかなりあ社中の3人が考えた即興は、「もっと話したいテーマ」を投票で決めてみようというものでした。

投票で五つのテーマを選ぶ
参加者が投票して選んだ五つのテーマを書き出した。
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 イベントでは最後に、その日の対話で得た気づきを基にした何かのアウトプットを参加者のみなさんに作成してもらうことにしています。これは「プロトタイピング」と呼ばれるものです。ここで即興性を加えることによって、思わぬアウトプットを導けることがあります。イベントも中盤を過ぎると、参加者の頭脳や対話の場がずいぶんあたたまっていますから、多少の「無茶振り」でも、しっかりとした反応が戻ってきます。即興は「賭け」でもあるわけですが、それを参加者のみなさんに話す時のちょっとドキドキハラハラする瞬間が個人的に大好きです。

 「社内失業家ふぇ」では、「もっと話したいテーマ」の投票結果をプロトタイピングに使おうと即興で決めました。参加者の一人ひとりが「もっと話したいテーマ」を一つだけ付箋紙に書き、それを壁に張り出します。そして、一人が2枚のシールを持ち、張り出されたテーマに投票していくのです。そこで選ばれた上位の5テーマをピックアップし、五つのグループに分かれて模造紙にまとめて発表するスタイルを採りました。