次なる課題

 「えー。開発のターゲットは,最低でも映画1本分に当たる2時間以上の映像再生です。それを重さ1kg以下で実現しなければなりません。そのためには,現状の電池技術から考えて,恐らく消費電力が…」

企画書が完成<br>先行開発を担当していた松下電器産業の名本吉輝氏らのチームは,何とか企画書を作り上げ,1997年11月12日の企画会議で初めてプレゼンテーションした。図はそのときの資料。携帯型DVDプレーヤの基本仕様や,部品コスト,開発に必要な人員,課題などが書き連ねてある。(資料提供:松下電器産業)
企画書が完成
先行開発を担当していた松下電器産業の名本吉輝氏らのチームは,何とか企画書を作り上げ,1997年11月12日の企画会議で初めてプレゼンテーションした。図はそのときの資料。携帯型DVDプレーヤの基本仕様や,部品コスト,開発に必要な人員,課題などが書き連ねてある。(資料提供:松下電器産業)
[画像のクリックで拡大表示]

 1996年11月12日。名本らは,作成した企画書と「バラック」の試作機を携えて,携帯型DVDプレーヤに関する最初の企画会議に臨んだ。集まったのは,谷口以下,DVDプレーヤの主立った開発メンバーである。企画書に関するプレゼンテーションも,試作機による実演も無事に終了した。会議に参加したメンバーの反応も上々だった。名本らは,ひとまず安堵のため息を漏らす。

「思ったより液晶モニタの画質が高いので,驚いたのを覚えています。まあ,こんな感じのところまではある程度できるやろうけど,ここから先に製品としてまとめるのは大変やろうなとプレゼンを聞いて思いましたね」

 谷口は名本らの実演についてこう話す。これは谷口だけの感想ではなかっただろう。実演した名本らも,それを見て沸いた会議の参加メンバーも「バラック」から製品までの道のりが遠いことを予感していた。