[5]分業による工程設計

 最近では、国内と海外の製造拠点が分業して製品を組み立てるケースも多い。この場合、工程設計も国内と海外の自社製造拠点、あるいは外注先と分業して行うことになる。この工程設計の分業は以下のような流れで進むことになる(図7)。

図7●工程設計の分業支援
図7●工程設計の分業支援
[画像のクリックで拡大表示]

[A]日本の拠点でマスター工程を検討し、そこから海外拠点が担当する工程のみ取り出し、その情報をXVLで海外拠点へ送っておく。
[B]担当工程の情報を受け取った海外拠点では、これを検討し最終的な工程を作成する。検討が終わった工程情報を含むXVLは、日本へフィードバックする。
[C]日本側は、送られてきたXVLを管理するマスター工程に統合し、製品全体の工程を完成させる。海外拠点で作成した工程情報を含むXVLは、そのまま海外向けの作業指示情報になる。

 このように、海外との工程設計の分業に利用できるXVL Studioの機能は、外注先とともに担当部品の組立について検討したいという場合にも有効である。さらにメインの工程とサブ工程を別々に設計し後で統合することもできるので、納品単位の物流を検討することも可能だ。

 そして、このような情報の授受が、1つのファイルのやりとりだけで完成するのもXVLの優れた特徴である。1つのXVLにものづくりに必要な情報を入れて現場へ流すことで、「日本の現場力」を最大に生かすことができる。

 次回は、三菱農機やトヨタ自動車などで、このXVLを利用した工程検証の実例を紹介していくことにする。