ベンチャー投資は活発

 技術業界では、様々なベンチャー企業関連のニュースが頻繁に流れる。ベンチャー投資市場調査会社のMoneyTree(Webサイト)によると、2012年第3四半期の米国全体のベンチャー投資金額は64億8200万米ドルであった。2011年第3四半期の73億4700万米ドルと比較すると12%に下がっている。しかし、2012年第3四半期の全体投資の中のシリコンバレーへの投資は全体の40.41%の26億1900万米ドルで、2011年第3四半期の27億9500万米ドルに比べても大差ない。また、今どきのインターネット関連アプリやWebサービスを手掛けるベンチャー企業を立ち上がるにはさほどコストがかからないので、ベンチャー投資家から資金を取得しないベンチャー企業が少なくもない。

 業界団体National Venture Capital Associationと米Dow Jones VentureSourceの予測によると、全米での2013年の投資が向上する分野は業務向けIT(61%)や医療向けIT(57%)、消費者向けIT(35%)である。逆に投資が下がる分野は、比較的に高い金額を要求するクリーンテック(61%)や医療機器(53%)、バイオ医薬品(49%)と予測されている。シリコンバレーも見通しは似ていて、特に「BYOD(bring your own device:企業に社員が自分の好みの携帯端末を利用する動向)」の流行で、携帯端末向けの業務IT分野への投資が目立つと執筆者は考えている。

 大手企業の場合はどうだろう。シリコンバレーでは老舗の米Hewlett-Packard社(HP社)は、短い期間に何人ものCEOを交換し、2011年に111億米ドルで買収した英Autonomy社に関する訴訟に巻き込まれている。このためか、HP社に関する期待は低い。一方、米Apple社は2012年9月の四半期で360億米ドルの売上と82億米ドルの利益を報告した。だが、韓国Samsung Electronics社がスマホ販売台数を伸ばしていることや、iPhone5の販売台数が予測を下回ったといった記事が報道されている。このため、Apple社の株価は2012年9月21日時点では700.09米ドルだったが、2012年12月26日には513米ドルに落ちた。筆者は、Apple社がここまで連続して成功を続けてきたので、市場がちょっとしたバッド・ニュースに敏感に反応しただけと見ている。逆に、Apple社といった携帯端末メーカーがARM対応のマイクロプロセッサ搭載端末の成功で、米Intel社に圧力にかけている。「近いうちにApple社がIntel社を買収する」とあるシリコンバレー出身のベンチャー投資家が予測したほどだ。