「よし,やった!」

 2007年6月。神奈川県にある川崎市産業振興会館。64歳(当時)の技術者・戎章夫は,控えめながらも,喜びを隠さなかった。

 起業を支援するため,川崎市の財団が定期的に実施する「かわさき起業家オーディション」。既に第47回を数える,知る人ぞ知るオーディションである。この最終選考で,成長性・収益性が見込めると評価されたビジネス・プランに与えられる「かわさき起業家優秀賞」に,戎が率いるベンチャー企業「IJR」の提案が選ばれたのだ。

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