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HOMEものづくり産業機器/部材エディターズ・ノート > 誰もが宙に昇れる日

エディターズ・ノート

誰もが宙に昇れる日

  • 中島 募=日経エレクトロニクス
  • 2012/12/17 09:36
  • 1/1ページ

 昔読んだ漫画のなかで、今でも特に忘れられない作品があります。的場健氏の「まっすぐ天(そら)へ」という漫画です。宇宙エレベーター(作中では「軌道エレベータ」と表記されています)のケーブルとして使用可能な素材などが発見されているという仮定の基で、宇宙エレベーターの実現に奔走する兄弟の物語がリアリティーを持って描かれていました。もちろん、フィクションですから技術的にも突っ込みどころはあったのかもしれませんが、私はとても面白く読みました。今でも時々、思い出したように読み返しています。

 ただ、当時はリアリティーのあるSF漫画を求める読者のニーズがそれほどなかったのか、また宇宙エレベーターというマイナーなテーマだったせいか、物語が始まったばかりのところで連載は中断され、単行本は今も1巻しか出ていません。1巻が発刊されたのが2004年ですから、今から連載が再開するのは望み薄だとは思いますが、何らかの形で続きが読みたいところです。

 人類が有人宇宙飛行を成功させて50年近くなりますが、宇宙に行くことができる人はごくごく一部に限られています。各国を代表する宇宙飛行士か、約20億円ものお金を出してソユーズで国際宇宙ステーションに行く宇宙旅行サービスを利用できるお金持ちです。スペースシャトルが打ち上げられた1981年、当時、小学生だった私はそのニュースを見て、御多分にもれず「大人になったらスペースシャトルで宇宙に行きたい」と思いました。宇宙に行きたいという思いは今も変わりませんが、残念ながら「宇宙兄弟」のようにはいかず、宇宙飛行士になることはなく今の職に就いています。

 そんな私でも、宇宙に行けるかもしれない時代がまもなく到来しようとしています。米国では航空宇宙産業の民営化が進み、宇宙旅行を企画するベンチャー企業が続々と登場しています。民間製の宇宙船の開発も進んでいて、早ければ来年にも米連邦航空局からサービス開始の認可が降りる見通しです。「宇宙遊泳」とまではいきませんが、宇宙船に乗って、国際航空連盟が定める地球の大気圏と宇宙の境界線(高度100km)に数分間滞在できます。

 こうしたサービスの料金は、一人あたり10万~20万ドルに設定されています。約20億円の従来サービスと比べると随分安くなりましたが、それでも我が家の財政状況を考えるとなかなか難しそうです。また、せっかく宇宙に行くのなら、もう少し長時間滞在したいと欲目が出てしまうのが人の性(さが)。冒頭の「まっすぐ天へ」にも登場した宇宙エレベーターは、そんな私の願いを叶えてくれそうな未来の建造物です。宇宙へと伸びるケーブルを伝って上昇する「クライマー」という昇降機に乗るだけで、ロケットよりも安価なコストで誰でも宇宙に行くことができるようになるといわれています。

 ただし、残念ながら宇宙エレベーターの実現に必要な技術は、まだほとんどそろっていないのが現状です。例えば、ケーブルとして使用可能な素材は今も見つかっていません。最も近いとされるカーボン・ナノチューブも、引っ張り強度や長さ、コストなどの面でまだまだの状態です。クライマーの駆動機構やエネルギーの供給方法、宇宙空間で超高速で飛来するスペースデブリの対策方法などにおいても、実用化のハードルはとてつもなく高いとされています。

 でも、20世紀がはじまったばかりのとき、当時の人に「約70年後に人類が月に到達する」といってもほとんどの人は信じなかったと思います。宇宙エレベーターは、技術のハードルは極めて高いものの、理論的には実現可能といわれています。ですから、本格的な研究開発が始まればそう遠くない未来に実現できるのではないかと、希望的観測を抱いています。願わくば、私が生きている間に実現のメドが立ち、子供や孫の世代には宇宙旅行が当たり前の時代になっていればいいなと。そんな思いも込めて、2013年の日経エレクトロニクスの年初号となる1月7日号では、宇宙技術をテーマにした特集記事を企画しています。興味を持たれた方は、ぜひご一読いただければ幸いです。

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