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“80後(パーリンホウ)”の美女社長(4)

永井麻生子=おあしすランゲージラボラトリー代表
2012/12/25 00:00
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今回紹介する書籍
題名:21岁当总裁
著者:董思陽
出版社:東方出版社
出版時期:2008年6月

 今回は、≪21岁当总裁》(日本語訳:21歳でCEO)の最終回。今回は本書の著者である董思陽がHellyTongとともに立ち上げた鳳博国際貿易有限公司が電子部品やソフトウエアのみならず大きく多角化へと乗り出す過程をご紹介する。

 董思陽たちの多角化の方向は二つ。一つは人材紹介、そしてもう一つは不動産業だった。

 まず2005年3月にシンガポール中華総商会は、中国のある地方都市の政府とともに大規模な企業誘致活動を行った。その際に副市長と同席した董思陽は副市長との会話のうちにその都市の看護師をシンガポールに派遣してはどうか、と考えた。シンガポールの看護師不足は誰も知るところだったし、派遣されてくる看護師にとっても比較的簡単に国外に出られるのは魅力であろう。話はとんとん拍子に進み、その場で副市長はこういった。

 「君の方から看護学校の校長や病院の委員長に連絡してくれたまえ。私のシンガポールの友人だと紹介しておこう」

 このように順風満帆に進むかに見えた看護師派遣計画であったが、意外なところに落とし穴があった。シンガポールでは中国国内の学歴は認められないというのだ。それでは彼女たちの労働ビザが下りない。途方に暮れた時、またも救いの手を差し伸べてくれたのが中国総商会であった。総商会の会長が移民局の長官と知り合いだったのだ。そのつてで長官の認可を取り付け、230人の看護師を中国からシンガポールに送ることができた。このことからも分かるように華人社会では人脈の力は決定的だ。彼女自身もこの一件を経てさらにその思いを強くしている。

 まだ人材紹介の成功による興奮も冷めやらぬ頃、彼女たちは不動産業へ進出するチャンスと出会う。

 彼女はインドネシア政府による企業誘致のための会合でインドネシアの国会議員と知り合う。そこでその議員からインドネシアのある工業団地の不動産への投資を強く勧められる。現地はシンガポールに近く、また関税も低かったので董思陽もパートナーのHellyTongもこの投資話に乗り気になった。そこでその国会議員が声をかけていたほかの投資家とともに現地に赴いた。そして現地を見た董思陽たちは他の5人の投資家たちと共同で出資することにした。彼らにとって初めての不動産投資だったため、安全策をとったのだ。

 また、ほかの5人のメンバーにはそれぞれ異なった強みがあり、それが合わさることでより大きな利益を得ることもできるだろう、というのも共同投資をした理由であった。例えば董思陽たちは建築局長とコネクションがあったが、メンバーの中には銀行に顔が効く者、工業団地のプロジェクト全般に人脈を持つ者もいた。これらが組み合わさることによる効果を董思陽たちは重視したのだ。また、このプロジェクトには銀行の融資がついており、現金を用意しなくても会社の資産を抵当に入れ銀行から金を借りればそれで投資ができたのだ。自分で資金を用意しなくてもいいというのは董思陽たちにとっても大きな魅力であった。

 巨大なプロジェクトであったが、大変順調に進んだため、この工業団地の投資はひと月余りでまとまった。だが、そうすべてがうまくいくものではない。ある日董思陽は一本の電話を受ける。

 「新聞を見たかい?今、インドネシアでは激しい反中運動が起こっているらしい。この投資にも影響あると思うよ」

 彼女はあわててテレビを見た。たしかに中国を排除しようという動きが起こっているらしい。彼女はすぐさまインドネシアの関係者に連絡したが問題ないという。ほっとしたのも束の間、そこで大津波に見舞われた。その結果、インドネシアの銀行はみな外国企業に融資するべき資金をすべて国内の借り手に回すため、董思陽たちは融資を受けられないことになってしまった。その結果、彼女たちはこの投資から降りざるを得ず、大きな損失をだした。

 このように彼女の不動産業への第一歩は失敗に終わった。だが、彼女はそのまま沈んではいない。これを機に彼女は米国へ留学し、その後香港へ移り住む。この粘り強さ、不屈の精神が多くの若者の共感を呼ぶのだろう。

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