山形大学 大学院 理工学研究科 卓越研究教授。1959年生まれ。山形大学大学院理工学研究科卓越研究教授。1993年、世界に先駆けて白色有機EL素子を開発した有機EL研究者。ゴルフを始めたのは2010年春、51歳のとき。
山形大学 大学院 理工学研究科 卓越研究教授。1959年生まれ。山形大学大学院理工学研究科卓越研究教授。1993年、世界に先駆けて白色有機EL素子を開発した有機EL研究者。ゴルフを始めたのは2010年春、51歳のとき。
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大学教授が考えた1年で90を切れるゴルフ上達法!、798円(税込)、173ページ、角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)、2012年7月
大学教授が考えた1年で90を切れるゴルフ上達法!、798円(税込)、173ページ、角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)、2012年7月
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 おふざけで書いた本ではありません。本の冒頭で記した通り、真っ向からゴルフのレッスン書を著そうと考え、この本を出しました。私のベスト・スコアは89にすぎません。ただ、50歳を過ぎてからゴルフを始め、それから実質1年で90を切ったという例はあまりないようです。そこで、ゴルフの最短上達法をテーマとして執筆しました。

 ゴルフも研究開発も、限られた時間で成果を出す極意は全く一緒です。まず大切なのは、目標に対して、足りない点を把握すること。課題をどのように乗り越えていくか、取り組みの優先順位を適切に決めることが重要です。

 ゴルフで「1年で100を切る」という目標を立てたとします。100を切るという目標に対して何が足りないのか。例えばスイングに難があるとしたら、手首を返してしまっているのか、頭が上下しているのか、体の中心が動いているのか。たくさんの要因の中で一番重要な問題を冷静に見極めて、練習することが上達の早道です。

 これは、研究開発でも同じです。私は以前に「有機EL照明を作る」という目標を立てました。コストも性能も従来とは桁違いの有機ELが求められる、エベレスト級の目標でした。そこで、低コスト化のために全く新しい製造装置を開発したり、高性能化のために全く新しい素子構造を開発したりして、順を追って課題をつぶし、有機EL照明を実用化に導きました。

 ゴルフでも研究開発でも、もう一つ重要なのは、課題を持って取り組むことです。ただ漫然とクラブを振ったり、実験したりしても成果は上がりません。

 ゴルフで頭が動くから空振りするのだとしたら、「頭を動かさない」という課題を持って練習すること。頭を動かさないための意識の仕方は何通りもあります。一つひとつ自分で試しながら、自分に合う方法を見つけていくことが重要です。

 研究開発も同じです。私の研究室では優れた材料を見いだすための合成実験をしています。優秀な学生は課題を持ち、条件を一つずつ変えながら合成に取り組みます。一方、そうでない学生は同じ条件で合成を何回も繰り返したり、複数の条件を一度に変えて合成したりしてしまいます。どちらが短期間に成果を出せるかは明らかでしょう。(談、聞き手は日経エレクトロニクス)

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