いつもと同じ場所で話し合っても、なかなか新しい発想は生まれにくいもの。社外のベントであれば、参加者は初めて会う人々が多いので、非日常性が出やすい。でも、社内でイベントを実施する際には、日常からの脱却はかなり意識した方がいい観点です。

 いつもと同じ会社の会議室で、いつもと同じ部署のメンバーが集まると、やはりいつもと同じ話になってしまいがちですよね。それは、社内では所属部門での課題や社内の肩書きなどが日常としてしみついているからです。社外に場所を移したり、合宿に行ってみたり、「日常」を壊す仕掛けが大切になります。

 ワールドカフェ形式のイベントを実施する場合、場所となる会議室の大きさはイベント参加者の3~4倍程度の定員数が欲しいところです。例えば、座学で机を並べた場合に100人が定員の会議室であれば、25~40人によるワールドカフェに向いています。それは、いくつかのグループに分かれて対話するためです。机を横や斜めに配置したり、机と机の間に余裕を持たせるには、これくらいの広さのバッファが必要になります。

日頃の社外での部活が役に立つ

 「でもね、塚本さん。そんなに簡単に場所は見つからんでしょう?」

 その通りです。ここでは、日頃の社外での「部活」が役立っています。社中のイベントでは、メンバーの勤務先の大会議室などを借りる場合もありますが、幸いなことに普段から社外で開かれるワールドカフェなどに参加しているので、場所を無償で貸していただける社外の友人がいるのです。場所をご提供してくださるソーシャル・リーマンズの諸兄には、いつも感謝しています。

 「社内失業家ふぇ」のイベントでは、セオリー通りに非日常的な空間を探すことにしました。このテーマ自体からは、社会の暗い一面を連想してしまいます。それをポジティブな方向に変えていくためには、会社とは異なる空間演出がいつも以上に重要な役割を果たすと思いました。

 そこで、日ごろから懇意にしているCSR推進部長が在籍している情報通信関連企業のイベント・ルームを貸していただきました(感謝しています! 部長!)。このイベント・ルームは、最大200人近くを収容できる可変式の会場で眺望も素晴らしい。この場所で多くの方が参加しやすい日曜日に開催することにしました。

 そして、広い場所を大胆に活用し、40人以上の参加者が座れるように楕円型に椅子を並べたスペースと、4人で1グループの机を10カ所という、2種類の異なる対話スペースを同じイベント・ルームに中に用意しました。お茶やお菓子を並べ、BGM(ボサノバ)を流すなどおもてなしを意識した空間を演出。企業内にある日常的なイベント・スペースながら、開催曜日やレイアウトを工夫することで、「非日常の対話の場」としての雰囲気を感じられるようにしたわけです。

 テーマと場所が決まったら、次はイベントの内容の詳細を詰める作業に入っていきます。おっと、誌面が尽きてきたので、ここから先は次回にいたしましょう。

(この項、次回に続く)