「メディチ効果」を!

 スマートシティにおいて、新しいサービスはどのようなところから登場するのだろうか。上述の調査から、「規制緩和」「意識改革」「異業種コラボレーション」の3点が重要であることが見えてきた。

 このうち、「規制緩和」は昨今の電力関連の動きを見ていれば明らかであり、新電力などが提供するサービスは既存の枠組みを超えて発展しつつある。「意識改革」は、技術ありき、製品ありきの考え方を改めるという意味で異論は少ないだろう。

 それでは3点目の「異業種コラボレーション」はどうか。新しいサービスを生み出そうとする際、自社の置かれた業界の中だけで議論しても斬新なアイデアに結びつきにくいと感じる関係者は多い。自動車業界の関係者は、「自動車やその周辺産業のメンバーとだけ議論していても、斬新なサービスは生み出しにくい」と言う。異業種との人的ネットワークを拡大し、コラボレーションによって革新的な発想を生み出すことに期待する人は多い。

図2●異業種が連携して初めてスマートシティが形成されていく
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 これは、イノベーションの世界で議論されている「メディチ効果」(ルネサンス期にイタリア・フィレンツェのメディチ家に多様な人材が集まって革新性を加速した)そのもので、斬新なアイデアを合体によって生みだそうという動きである。

 スマートシティ自体、異業種との連携なくしては実現が不可能である。その基盤の上で斬新なサービスを提供するには、単なる連携を超えて、異業種の垣根を取り払って自由に議論する必要がある。

この記事は日本経済新聞電子版日経BPクリーンテック研究所のコラム「クリーンテック最前線」から転載したものです。