技術経営 技術者が知っておきたい経営と市場の最新情報
 

「サービス」の視点でスマートシティを見直す

望月 洋介=日経BPクリーンテック研究所長
2012/10/03 00:00
印刷用ページ

 スマートシティの事業はこれまで、再生可能エネルギーの発電設備や管理システムといったハードウエアを売ったり整備したりという観点で主に議論されてきた。しかしここに来て、サービスの視点で見直そうという動きが出てきた。既に米国や欧州では活発になっており、日本でも動きが加速し始めた。

価値やメリットを説明できていない

 「タウンミーティングを開いて市民に“スマートグリッド”について説明しても、素晴らしさは伝わらない」(国内のある自治体の責任者であるA氏)。CEMS(地域エネルギー管理システム)やBEMS(ビルエネルギー管理システム)といった次世代エネルギー管理システムの実証実験に取り組んでいる自治体は多い。これらの新しいシステムは多くの可能性を秘めているが、その基盤となるスマートグリッド技術について市民にいくら説明してもなかなか伝わらない。A氏のように、ここで悩んでいる担当者は多い。しかもA氏と同じ市の市議会議員からは「このようなことに税金を費やして、市民にとってのメリットがあるのか」という疑問が出てきている。

 当たり前である。市民は技術がほしいのではなく、どんなサービスが得られるのかが知りたいのである。現在はサービスの基盤となる技術を導入している段階という事情はあるものの、市民に対して具体的な価値やメリットを説明できていないのが現状だといえる。

 日経BPクリーンテック研究所の調べでは、世界のスマートシティの市場規模は2030年までの累積で4000兆円にも達する(スマートシティのインフラへの投資、つまりハードウエアへの投資を積み上げた金額)。年間でも200兆円近い。この市場を狙って、企業のみならず政府・自治体も含めて多くの関係者が産業構築、事業創造に挑んでいる。しかし、この膨大な市場は約束されたものではない。そのポテンシャルを引き出して市場を急拡大させるには、スマートシティの最大の受益者である市民の理解が不可欠となる。これが後回しになってきたのである。

 受益者であり主役である市民のメリットを明確にするために、ハードウエアではなく市民へのサービスの視点からスマートシティを見直し、きめ細かな説明が必要な段階に入ったのだ。

【技術者塾】
実践で学ぶ!システム設計力強化トレーニング(9/2・3開催)

~複雑化する製品の設計情報を見える化し、品質向上と開発効率化を実現~


システム・サブシステムにおいて、要求⇒機能⇒実現手段の順に段階的に設計案を具体化しながら、各段階において異分野の技術が相互に与える影響や背反事項のすり合わせを行うことが重要です。また、元々日本企業が得意なすり合わせをより効率的・効果的に行うために、設計情報を見える化し共通言語とすることが必要です。これらにより、システム目標の未達や見落としを防ぎ、品質向上と開発効率化の実現を目指します。詳細は、こちら
日時:2015年9月2日(水)・3日(木)
いずれも10:00~18:00
会場:京王品川ビル セミナールーム(東京・品川)
主催:日経テクノロジーオンライン
コメントする
コメントに関する諸注意(必ずお読みください)
※コメントの掲載は編集部がマニュアルで行っておりますので、即時には反映されません。

マイページ

マイページのご利用には日経テクノロジーオンラインの会員登録が必要です。

マイページでは記事のクリッピング(ブックマーク)、登録したキーワードを含む新着記事の表示(Myキーワード)、登録した連載の新着記事表示(連載ウォッチ)が利用できます。

協力メディア&
関連サイト

  • 日経エレクトロニクス
  • 日経ものづくり
  • 日経Automotive
  • 日経デジタルヘルス
  • メガソーラービジネス
  • 明日をつむぐテクノロジー
  • 新・公民連携最前線
  • 技術者塾

Follow Us

  • Facebook
  • Twitter
  • RSS

お薦めトピック

日経テクノロジーオンラインSpecial

記事ランキング