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 MEMS(微小電子機械システム)デバイスの出荷数は、携帯電話機とタブレット・パソコン(PC)への採用によって、2009年から2011年に3倍となり、2011年は対前年比60%増になった。2012年には、MEMSデバイスの売上高は1年間に20%成長し、20億米ドルの壁を突破するだろう。

 さらに、2017年までに54億米ドルに達し、世界中の29億台の携帯電話機とタブレットPCは、1台当たり平均5~10個のMEMSデバイスを使い、そのうちの1/4が新しい種類のセンサになる。出荷数は伸びるものの、コンボ・センサとなって価格は下落するため、MEMSセクター全体の収益はすぐに横ばいになるだろう。コンボ・センサは、扱いやすくて多機能だが、より複雑なソフトウエアが管理のために必要で、高い処理能力も求められる。その結果、より多くのマイクロコントローラとソフトウエア、そしてサブシステムを手がけるメーカーが、MEMSのサプライチェーンに組み込まれることになる。

 現在、携帯電話機とタブレットPCに使用されているMEMSデバイスのほとんど全てが、慣性センサとマイクロフォン、そしてBAW(bulk acoustic wave)フィルタとデュプレクサだ。これらの多くを販売しているのは数社の大手企業であり、こうした大手は重要な知的財産を保有していて、早期に量産する能力を持つ。そして有力なシステム・メーカーからデザインウインを勝ち取った企業だ。ただし携帯電話機は、市場規模が大きく、差異化するために熾烈な開発競争をし、新しい機種を生み出すスピードが速い。これは、センサを利用したどんな新機能や新しいアプリも、一度ヒットすれば急速に普及する可能性があることを意味している。技術革新の可能性があるため、破壊的な技術やセンサの新しい応用を呼び込んでいる。センサのバリュー・チェーンのどの部分においても新たなビジネス・モデルでの参入がある。バリュー・チェーンの特定部分に特化したソリューション、サブシステム全体に適用できる統合的なソリューション、周囲の状況に応じて性能を発揮するエコシステムを提供することも可能だ。