日本製品ということに関していえば、「中国で日本車が売れないのは中国人の反日感情の現れである」とよく言われることがある。アニメや日本食は中国人には大人気でも、日本車は産業立国「日本」の象徴であり、それだけは乗りたくないという中国人が多いのではとの推測である。

 確かに、中国以外のアジア諸国と比較すると、中国では確かに街に走っている日本車は少ないように思う。インドネシアもタイ、マレーシアも日本車だらけ、ミャンマーやモンゴルで走る車はほとんどが日本の中古車だ。

 一方、中国ではフォルクスワーゲンなどの欧州車や第一汽車などの中国の国産車が多い。現代自動車と比較しても、日本車の比率は低いようにみえる。けれども、本当に中国人は日本が嫌いだから日本車が売れないのだろうか。

 博報堂が2011年に実施した調査によれば、世界各地での評価同様、日本製品は中国の主要都市でも「高品質」との評価を受けている(PDFの資料)。ところが、私がみた別の調査では、日本車に対して中国で売れない理由として、「日本車に対して安全性に疑問を抱いている中国人が多い」という理由を挙げていた。

 つまりは「高品質だけれども安全性には疑問を感じる」ということか。それって矛盾してないか、ということで中国の知人に聞いてみると、「日本車は高品質で燃費もいい。しかし、燃費がいいのは安全を犠牲にしているからではないか」との意見が返ってきた。「日本車は、ボディーの鉄板も薄くて危険、欧州車の方が安全だ」という声も多い。日本車は「安全性」に問題があり、欧州車は、燃費は悪いが「安全」だというイメージが浸透しているようだ。