シマウマの逃げ方ライオンの追い方、和田典之著、1,500円(税込)、単行本、249ページ、パレード、2012年7月
シマウマの逃げ方ライオンの追い方、和田典之著、1,500円(税込)、単行本、249ページ、パレード、2012年7月
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 やさしく解説してくれる題材は、組織の中で生きていくための“掟”(ルール)。20代の若手会社員を主人公にした自己啓発書だ。やさしく解説してくれる物語の舞台は、アフリカのサバンナ。夢をかなえてくれるゾウの登場にもびっくりしたが、今回は、悩みをかかえる主人公がシマウマやライオンに変身するという驚きの展開である。

 主人公は、自分のことを「デキるサラリーマン」と思っている、鼻持ちならない青年である。営業成績はいつもトップクラスで、ゆくゆくは会社の幹部になるか大企業からヘッドハンティングされる、と将来を夢想している。

 大手外国企業の社員からリベートを要求されたときも、「1匹狼は、冒険をするもの。結果が良ければ、多少のズルにも目をつむる」をモットーにしている青年は、何の迷いもなくリベートを渡した。しかし、リベートを渡した相手は会社の中で力を持っておらず、ちっとも売り上げを上げることができなかった。

 おまけに、リベートが会社にバレてしまったから大変。内心小バカにしていた課長や係長に迷惑をかけ、自分よりデキない同僚からも見下される立場になってしまった。ああ、会社へ行きたくない……、と思いながら眠りについた青年が翌朝起きたのは、いつものベッドではなかった。