製造業も生き残りのために様々な挑戦を行っているが、業界が縮小しているといわれる出版界でも、売り上げを少しでも伸ばすために種々の新機軸を打ち出している。
なかでもビジネス書ジャンルでは、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(略称「もしドラ」、岩崎夏海著、2009年12月ダイヤモンド社刊)をはじめ、難しい理論を分かりやすい物語にあてはめて説明する手法が、いくつも試みられている。
ドラッカーを熟読しているエグゼクティブから見れば、ドラッカーの『マネジメント』を解説するために高校野球の女子マネージャーを登場させるなんて、思いもよらなかっただろう。また、発想のユニークさでは、『夢をかなえるゾウ』(水野敬也著、2007年8月飛鳥新社刊)も負けてはいない。主人公に成功法則を教えるためにゾウが登場するというあらすじを聞いたとき、あまりのバカバカしさに、まさかこの本が200万部近く売れ、テレビドラマ化されるなんて想像もしなかった。
「もしドラ」や『夢をかなえるゾウ』がヒットしたことは、難しいことを分かりやすく解説してほしい、という読者の多さを象徴している。
この「難しいことを分かりやすく」市場に、つい先日、新たな一石が投じられた。それが本書、『シマウマの逃げ方ライオンの追い方』である。